『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』(DHBR)では毎月、さまざまな特集を実施しています。本稿では、最新号の特集テーマ「イノベーションの法則」への理解をさらに深めていただけるよう、関連する過去の論文をご紹介します。

 DHBR2021年4月号の特集テーマは「イノベーションの法則」である。

 社会通念が大きく揺らぐ時期こそ、新たな市場創造につながる好機である。顧客自身も気づいていないニーズを掘り起こし、それを形にして価値提案するには、どうすればよいのか。顧客の頭の中、既存の製品・サービスに対する概念をいかにシフトさせられるかがカギとなる。

 ファーストリテイリングはこれまで、フリースやヒートテック、ウルトラライトダウンなど数々の大ヒット商品を世に送り出し、消費者がファストファッションに抱いていた価値観を幾度となく塗り替えてきた。日本国内のみならず世界中の支持を集めて、同社がステートメントに掲げる「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」を実践している。

 自社の事業を通じてイノベーションを起こし、国境を超える新たな価値を生み出すために、経営者はいかなる役割を果たすべきなのか。「経営者の覚悟が世界を変える」では、ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正氏に話を聞いた。

 イノベーションの創出に向けて、より優れた機能や利便性等の付加価値を追求する企業は多い。このアプローチは、テクノロジー製品市場では合理的であっても、消費者向け製品市場ではなかなか奏功しない。後者においてイノベーションは、消費者の頭の中で起こるからだ。

 ファミリーカーやペットフードなどでの成功事例から、筆者が注目するのが「カルチュラル・イノベーション」である。商品のカテゴリーを変え、何に価値があるかを覆す手法だ。「カルチュラル・イノベーション:機能ではなく物語で価値を提供する」では、それを実現する5つのステップと、成功チャンスを逃さないために回避すべき3つの落とし穴を提示する。

  イノベーションとは、新しい製品・サービス、技術やビジネスモデルなどを通じて、社会に新しい価値を創出するものだ。しかし、価値の創出だけでなく、物事のイメージや文化、社会通念など、社会で定着している「概念」までも変えるイノベーションが存在する。

 本稿ではこれを「概念シフト」のイノベーションと定義し、概念と現象の関係性から「発見型」「具現化型」「創造型」という3つの類型を提示する。「人々の価値観と習慣を変える『概念シフト』のイノベーション」ではとりわけ、より市場の価値を長期間独占できうる、概念創造型のイノベーションを起こすための指針を論じる。

 元ネスレ日本代表取締役社長兼CEOの高岡浩三氏は、同社で「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ」や「ネスカフェ アンバサダー」など数々のイノベーションを起こしてきた。また、自身が変革を主導するだけでなく、組織が体系的にイノベーションを起こす仕組みも確立した。

 高岡氏は、イノベーションとは顧客が気づいていない問題や顧客が諦めている問題を解決することだと定義する。そして、顧客の問題を発見することが最も難しく、最も重要であるという。「イノベーションは顧客の問題発見から始まる」では、ネスレ日本での実例を交えながら、イノベーションの本質が語られる。

  イノベーションを喫緊の課題と位置付けている組織は数多いが、多額の資金と時間を投入しても、結実するのは稀である。「ノイズの海の中で、正しいシグナルをとらえた者が成功する」と表現する筆者は、数々の歴史的な発明によってイノベーションを先導してきたにもかかわらず、価値創出ができずに瀕死の状態にあったSRIインターナショナルをCEOとして復活させた人物だ。

 そのカギとなったのは、インパクトのあるイノベーションを生み出すために、アクティブラーニングを基礎にした方法論を適用したことである。「イノベーションの成功率を劇的に高める方法」では、SRIをはじめ、世界の主要機関で採用されている「NABCモデル」を、実際に組織やチームで活用するための方法を解説する。