実際、フェイスブックとツイッターの前例のないトランプ追放は(外部と内部の両方で実施される)ソーシャルメディア規制の新時代が間近に迫っている可能性を示唆している。今後数週間から数カ月で、効果的な制度改革が期待できる重大な分野がいくつかある。

 まず、フェイスブックとツイッターが実施した自主的な措置は、業界の自主規制の重要な役割を明るみにした。ツイッターはトランプのアカウントに加え、陰謀論を展開する集団「Qアノン」に関連する7万以上のアカウントを停止するなど、いくつもの変更を実施。フェイスブックは「選挙を盗むな」(stop the steal)というフレーズの投稿を禁止した。

 他のプラットフォームもコンテンツの削除や内部改革に乗り出した。ユーチューブはトランプのアカウントに対し、暴力を誘発すると判断した動画を削除し、新規動画の投稿を1週間禁止した。スナップチャットもトランプのアカウントを停止し、ストライプはトランプのキャンペーンサイトへの支払い処理を停止した。

 とはいえ、フェイスブックやツイッターのような主流のソーシャルメディアが、トランプに対する検閲にこれほどの時間を要したことは、深刻な疑問を投げかけている。企業がアルゴリズムによる政治的二極化を防ぐために初めから対策を講じていれば、世界が目撃した議会議事堂襲撃を完全に回避できたのではないかということだ。

 実際、こうした企業の最近の措置は、自社のプラットフォームが招く有害性を認めたというよりも、(ソーシャルメディア規制を強化すると見られる)民主党新政権の支持を得ようとする自己防衛だという指摘もある

 真の改革を導くためには、企業や政府の指導者がこれを単に党派的な機会として利用し、1人の当事者を打ち負かしたり、1つの政治的主張を助長したりするのではなく、根本的な原因に対処するための改革が不可欠だろう。そのためには自主規制が効果的な改革の重要な要素となるが、真の改革を達成するためには、政府の支援もほぼ確実に必要だ。

 特に注目すべきは、米政府が現在、通信品位法230条(プラットフォーム上で配信されたユーザーが作成したコンテンツに対し、インターネット企業に責任を問わない連邦法)の行方を決定するプロセスを進めていることだ。

 最近の出来事や以前からある反トラスト法への懸念から、ジョー・バイデン大統領とカマラ・ハリス副大統領率いる政権は、有害コンテンツから国民を保護する規制の適応について、妥協のない調査を早々に実施するだろう。

 たとえば議会は、ソーシャルメディアが230条の保護を受けるのに、透明性とデータ保護に関する一定の基準を満たすことを要求するよう働きかけるかもしれない。実際、そうした超党派の改正案がすでに検討されている。

 あるいは、議会は230条の適用の例外規定を提案し、ソーシャルメディア企業が、ユーザーが作成した偽情報や憎悪のあるコンテンツに対して責任を負わせるようにするかもしれない。こうした措置は、人身売買を可能にするオンラインプラットフォームの保護を軽減したFOSTA-SESTA法で適用されたアプローチに類似したものだ。

 さらに、民主党が大統領選に勝利し、議会両院で多数派を確保したことで、プライバシー、市場競争、アルゴリズムの透明性など、テクノロジー規制について断固たる改革が行われることが予想される。オバマ政権のプライバシーに関する基本的な提案は議会が膠着して事実上行き詰まったが、バイデン政権は民主党が支配する上下両院の支持を得て、包括的なプライバシー規制を進める可能性が高い。

 たとえば、容易に実現しそうなのが、オンラインの政治広告の透明性に関する「正直な広告法案(Honest Ads Act)」である。これはマーク・ワーナー上院議員が主導したが、共和党が支配した議会によって阻まれた。この法案が再び提出されれば、現在の議会は支持する可能性が高く、プライバシー擁護派に即座に勝利をもたらすことになる。

 民主主義が危機に瀕する中、企業や規制当局がいまどのような行動を起こすかが、今後の公的言論の行方を左右する。

 すべてのソーシャルメディア企業やIT企業はいま、重大な決断を下さなければならない。あらゆる顧客と無制限に関わり、(有害なコンテンツの拡散を可能にするというモラルハザードは言うまでもなく)厳格な規制当局の介入を受けるリスクを冒し続けるのか、それとも議会議事堂襲撃を受けて多くの企業が実施したような、より積極的な自主規制を通じて先制的に過激主義を抑制するのか。

 その答えは簡単には出せるものではない。しかし、最近起きた出来事は、いずれにしても現状維持は不可能であることを示している。


HBR.org原文:Are We Entering a New Era of Social Media Regulation? January 14, 2021.