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あらかじめ担当範囲を決めていたのに、次々と仕事を振ってくる上司。家に帰れば、分担したはずの家事をやらないパートナーに、ルールを守ろうとしない子どもたち。約束を守らない「境界の侵略者」はあちこちにいる。無抵抗でいれば、次々と侵略されてしまう一方、あらかじめ合意した場所まで境界線を押し戻そうすれば、抵抗されることも少なくない。彼らと対峙するには、説得力のある会話が欠かせないと筆者は指摘する。境界線を明確にし、いかにそれを維持すべきか。説得力のある会話のための具体的なアプローチを紹介する。


 職場には「境界の侵略者 (boundary predators)」があちこちにいる。親戚の結婚式が入っている週末に「仕事をしてほしい」と言ってくる上司。事前の約束より2つも多くのプレゼンテーションを押し込んでくるクライアント。自分にばかり仕事を振ってくるチームリーダーも、境界の侵略者だ。

 職場だけではない。「でも、パパがもう1枚クッキーを食べてもいいって言った」と悪知恵を働かせる4歳児。親に車を使う許可をもらっていないのに、友人3人と映画に行くのに「車を出すよ」と約束した17歳の子ども。そして、食事の片付けは交代でやろうと決めたのに、食洗機に皿を入れっぱなしにするパートナー(あなたは昨日やったのに)。

 境界の侵略者は、自分の権力と権威、そしてあなたの受身な姿勢を利用して、好き勝手に振る舞う。境界線を設定し、それを維持する方法を理解したうえで、彼らの要求を押し返すかどうかは、あなた次第だ。

 個人の境界線を定義するのは難しい。人生のあらゆる側面において、境界線を維持するのは容易なことではない。法律や国境とは違って、個人の境界線は決まった場所に存在するわけではなく、話し合いによってその位置を定めなくてはならない。あなたが権力のある立場にない時は、なおさらだ。

 しかし、あらゆる人たちが日々、顧客やクライアント、子どもとこうした困難な話し合いを行っている。仕事の内容を明確にし、線引きをして、それを守ろうと努力しているのだ。

 境界線を設定し、維持するうえで、説得力のある会話をするためのアプローチを以下に紹介する。