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理想的なリーダーシップについては多くが論じられているが、不安定な時代だからこそ重要にもかかわらず、見過ごされているスキルがある。質問する力だ。進むべき方向を示すのがリーダーであって、その道筋を知らないわけにはいかないと反論する向きもあるだろう。だが、組織の成功に向けて素早く学習し、行動するためには、まだ見ぬ大きな機会について質問を投げかけ、組織の外にも知見を求めることが欠かせない。答えがないことは恥ずかしいことでも弱みでもない。むしろ信頼関係を築き、ともに未来に向けた探求を始める契機となる。


 今日のリーダーは、ある見過ごされがちなスキルを思い出す必要がある。すなわち、質問するスキルだ。

 筆者はシリコンバレーで、40年間にわたりエグゼクティブ兼アドバイザーとして仕事をしてきた中で、「皆が自分の答えを聞きたがっている」と信じているリーダーをよく目にした。その大胆な思い込みによって、自分の能力に対する自信を深めるタイプである。

 しかし実のところ、そのようなアプローチはむしろ信頼感を損なわせる。あまりにも多くの物事が見るからに不確実な、いまのような時代にはなおさらだ。

 あなたは本当に、すべての重要な質問に対する答えを自分が知っていると考えているのだろうか。そうだとすれば、この世界がどれほど急激に変わりつつあるのかまったくわかっていないか、嘘をついているかのどちらかだろう。いずれにせよ、あなたが期待しているような信頼感を得ることはない。

 答えを提示する代わりに、リーダーは人々を触発するような力強い質問をすべきだ。自分は答えを持っておらず、答えを見つけるのに力を貸してほしいと伝えるべきなのである。

 このようなアプローチに不安を感じるリーダーは、少なくないようだ。自分が何をしているかわかっていないように見えることを、恐れているのだろうか。

 しかし、それとは反対に、むしろ弱みを見せて助けを求めることで、自分が相手を信頼しているという強いサインを送り、その見返りとして相手の信頼を得られる可能性が高まることが研究で示されている。

 事実、的確な質問をする力をつけると、他者とのつながりを築くのに役立つ。一緒に考えることで、難題を解決し、イノベーティブな閃きを得る道筋が開けるのだ。