勇気

 好奇心と集中力だけでは、自発的な適応力は身につかない。私の研究では、変化を妨げる最大の障害は恐怖であることがわかった。とはいえ、恐怖は失敗とともに、幸せを実現する最高のツールの一つでもある。

 勇気を持つことは、「恐怖は『逃げなさい』という警鐘だ」という思い込みを捨てて、可能性を覗きこむことにつながる。勇気があれば、恐怖は人間の生物学的な感情であり、普遍的なものとして受け入れ、自分が望む変化を起こすために利用できるという知識に基づき、そこに踏み込むことができる。

 恐怖(ただし命を脅かすものは除く)に踏み込むと、自分の希望とそれを実現するための行動の間に横たわる障害物を理解し、創造的な方法でそれを取り除くことができるようになる。

 大手企業でワークショップを実施してわかったことだが、恐怖や失敗を同僚に打ち明けると、実は多くの人が同じ恐怖を抱いていると理解でき、それはありふれた現象だと考えられるようになる。そうすることで、みずからの劣等感が消え、恐怖や失敗を革新的かつ創造的な方法で乗り越え、限界ではなく成長に集中できるようになるのだ。

勇気を身につける方法

 勇気を身につけるための優れた方法は、「小さな勇気」を日々実践することだ。コンフォートゾーンから外に出るような小さな冒険を毎日続けること、ともいえる。たとえば、会議では最初に発言する、新しい料理をつくる、オンラインクラスに申し込む、あるいは友人に弱みをさらけ出すといったシンプルなことでよい。

 こうした小さな勇気の積み重ねが、いずれ自分を解き放ち、大きな飛躍を可能にしてくれる。恐怖は、頭の中で考えているほど悪いことでもなく、重大なことでもないと学習できる。多くの場合、そこには予期せぬ喜びが見つかるだろう。