みずからの意志を持って自発的に適応できる人たちは、可能性と将来性の扉を開くことができる。閃きを得た瞬間だった。私は、自分を取り巻く環境のすべてをコントロールすることはできなくても、自分自身や自分の選択はコントロールできる。自分の心や感情に影響を与える選択もそうである。そのことを理解し始めたのだ。

 こうした観察を通して、私は幸せをより適切に定義するに至った。

「幸せとは、人生で経験するあらゆる感情の波を乗りこなせることだ。その波を越えたら、それまでの自分よりも少しだけよい自分になっていることを知っている。なぜならあなたには、そのためのスキル(集中力、勇気、好奇心)、リソース(ポジティブ・マインドセット)、そして支援体制(コミュニティ)があるのだから」

 この定義を見れば見るほど、適応性という発想と、それが充実を得るために果たす役割について、私は好奇心を抱くようになった。そこで、次なる冒険を始めることにした。幸せをハックする方法論の構築である。

 その研究過程で、人間が最も優れた適応力を示すのは、自分が置かれている環境が外部からの変化を強いられる時だとわかった。たとえば、新型コロナウイルス感染症とロックダウンへの適応について考えてみよう。私たちがその変化に適応したのは、適応することを強いられたからだ。

 強制的な適応は素晴らしいサバイバルスキルである。しかし、豊かな人生を送るうえで理想のスキルではない。人生を豊かにするためには、私の母やシーリーが経験したように、自発的で積極的な適応が必要となる。何とかして乗り切ろうという消極的なマインドセットではなく、自発的なマインドセットでなくてはならない。

 自発的な適応力を習得するためには時間と訓練が必要だが、私は実験を通じて、その助けになる主な3つのスキルを発見した。以下に紹介しよう。