「不可能な目標」に潜む心理

 目標を立てることは、自分の行動に意味や目的を与えるので、セルフモチベーションを高めるために重要だ。ところが、人間は自分を過信する生き物であり、目標が自尊心と結び付いている場合は、特に顕著になる。

 基本的には、自尊心は心理的ウェルビーイングにとって不可欠なものだ。私たちは、自分が成し遂げたことだけでなく、自分が抱く志にも満足したいと思う。そのため、分相応の目標かどうかの見極めが、過度に甘くなる傾向がある。

 とはいえ、なかにはもっと戦略的な人もいる。達成できるかどうか自信が持てない時、あるいは達成する見込みが薄いと感じている時でさえも、あえて大胆な目標を掲げる。そのほうが、最終的に得られるものが多いと考えているからだ。たとえ目標を達成できなくても、それなりの成果が上がることを期待している。

 たとえば、「次の学年では、これまでの成績でほとんど取ったことのないA
をすべての科目で取る」という目標を立てる。実際にオールAが可能な状況かどうかは別にして、この「ミッションインポッシブル」に挑めば、成績の底上げが期待できる。「全科目でB以上」といった控えめで手の届きやすい目標では、同じ結果はおそらく得られないだろう。