すべての人を毎日、活気づける

「意外にも、いまこの時に最も難しいのは、自分の心を管理することだ」。ある大企業のCEOは、筆者らのセッションの終わりが近づいた時、ため息をついてそう言った。

 ラストスパートに入ると、リーダーにとって最大の課題は、自分とチームのエネルギーを持続させることかもしれない。

 あとどのくらいで完走できるのかわからず、危機の緊急性の効果に頼ることはできない。「力を合わせよう」「この状況を乗り越えよう」といった景気のいい言葉は、もう聞き飽きた。

 求められているのは、具体的で実行可能なコミュニケーションだ。力を合わせるために何をすべきか、どうやって乗り越えるのか、という言葉である。

 ここで重要なのは、エネルギーの流れをつくることだ。

 会議や人々のやり取りが、陳腐化して退屈になることを受け入れないこと。エネルギーは与えられるものではなく、内から生まれて広がらなければならない。たとえば、レゴグループは、"Energize Everyone, Every Day"(すべての人を毎日、活気づける)という目標をリーダーシップの原則として定義している。

 成功体験を共有する、競争を設定する、長期のプロジェクトを分割する、コミュニケーションを促進するなど、活力を持ち込む方法は数多くある。延々と続くオンラインミーティングを短縮する、堂々めぐりのプロジェクトを終了する、チーム内で建設的な対立や率直なフィードバックを可能にすることなども、活力につながる。どのようにやるかではなく、リーダーであるあなたが率先して行うことが肝心だ。

 さらに、レジリエンスの高い人は、挫折を一時的なもの、局所的なもの、変えられるものと捉えているため、周囲を巻き込みやすい。物事をこのように受け止めることによって、「いずれ終わるだろう、抑えることができるだろう、自分に何かできるだろう」と考えられるようになり、行動を起こすことにつながる。

 これが、レジリエンスの高いリーダーのマインドセットだ。レジリエンスのある人は、自分の状況に変化をもたらすことができると信じ、変化をもたらすことを恐れないので、すすんで決断を下す。

 それに対し、障害に直面した時に「これは永遠に続く、一般的な問題だ、自分にできることはない」と考えると、行動する力はほとんど生まれない。レジリエンスに欠ける人は、「自分のせいだろう。自分がよくない。自分は何もまともにできない」と思いをめぐらせながら、問題を抱え込みがちだ。

 こうなると、その人は麻痺してしまう。このような思考が暴走して自滅に終わることは想像がつく。

 レジリエンスは、混沌とした状況を乗り切るための最も基本的な資質だ。自分には障害を克服して物事を遂行する能力と強さがあるという信念は、常にバランスの取れた行動を伴う。これは、大半の人にとって生涯をかけた挑戦でもある。

 レジリエンスがなければ、優柔不断になって、やみくもに指示に従いがちだ。自分には必要な能力があるという自信を持てなければ、身動きが取れなくなり、自分にはどうにもできない力にさらされる危険がある。

 みずからの心をマネジメントして、自分の運命の主導権を握る。そして、他の人がそうできるように助ける。そうした決意が、ラストスパートを走り切る精神的な強さをもたらす。


HBR.org原文:How to Lead When Your Team Is Exhausted - and You Are, Too, December 15, 2020.