緊急性と重要性の違いを理解する

 わかりきったことに思えるかもしれない。しかし、驚くことに、目の前の最も困難な課題と向き合うことを組織全体で避けようとするものだ。

 その理由の一つは、危機に対する私たちの自然な反応だ。人は危機に直面すると、近視眼的になり、緊急ではないことはいっさい考えなくなる。そして喫緊の課題を解決すると、十分な休息を取る資格があると感じる。

 筆者が現在、助言しているいくつかのトップチームにも、次に来る課題を見落としたり、「新型コロナウイルス感染症が終息してから、その問題に対処する」と正当化したりする傾向がある。

 リーダーもチームも、この誘惑に負けてはならない。休息は、仕事の時間外には必要不可欠だが、仕事の最中に活動を中断すると反動を招きかねない。

 たとえば軍隊では、退屈な待機時間は、実際の戦闘よりもストレスが高いと考えられている。「空っぽの頭をめぐる課題(The Challenges of the Disengaged Mind)」と題された研究では、部屋に座って何もしないように指示された被験者は、沈黙をやり過ごすより、電気ショックを受けることを選んだ。

 大半の人は、たとえ非生産的なことや有害なことでも、何もしないよりは何かをすることを好むようだ。NATO(北大西洋条約機構)のある高官は、筆者の著書Battle Mind(未訳)で次のように語っている。

「行動しないより、行動して決断を下すほうがいい。言い換えれば、行動するより、行動しないと決断した時のほうが、重大な結果をもたらしやすい。リスクをすすんで引き受けることは、重圧や厳しい状況のもとでも行動を起こすための前提条件である」

 筆者が助言しているあるCEOの例は、今後の指針になるかもしれない。彼女の会社は新型コロナウイルスの問題にうまく対処しているが、彼女は現状に満足することなく、どのようにして短期的な勢いを長期的な強みに変えていくかと考え続けている。

 彼女は経営陣に今後に向けたアイデアを募り、組織全体から優秀な人材を集めてタスクフォースを立ち上げた。そして、いまできることと、長期的な競争優位を得るために今後数年間にやることを、具体的に考えてもらった。

 もう1つのアプローチは、ワクチン接種が始まった後に必然的に競争が過熱することに対して、本当に十分な準備ができているかどうか、あらためて考えることだ。失われたビジネスと顧客を取り戻そうと、どこも躍起になるだろう。多くのビジネスにとって、余波に対処することは、危機に対処するのと同じくらい熾烈なものになる。

 自分とチームに問いかけよう──危機を乗り越えて、より強い会社になるために、できることをすべてやっているだろうか。変化の段階は終わりつつあるかもしれない。いまこそ、善意を行動に移す時だ。