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ワクチン開発のニュースに希望を与えてくれたが、新型コロナウイルス感染症の終息がいつになるのか、そのゴールはいまだに見えてこない。パンデミックの第1波は刺激的で、興奮状態のまま乗り切れた人も多いだろう。しかし、第2波はそうもいかない。「パンデミック疲れ」に陥る中、景気のいい励ましの言葉は心に響かないのだ。リーダーは疲弊したチーム、そして自分自身をどのように先導すればよいのか。本稿では、この難局を乗り切るために、レジリエンスを高める3つのステップを紹介する。


「私の決断によって、何が起きるのだろうか」

 セッションの途中で、あるリーダーが言った。

 筆者らは、彼と彼のチームが新型コロナウイルスのパンデミックの第2波をどのように乗り切ろうとしているかについて、またワクチンの開発に成功しそうだというニュースにどう対応するかについて、話し合っていた。表面上はすべてが順調だった。事業は盛況で、彼の会社は好ましいポジションにいた。

 しかし、その発言は、不安の核心を捉えていた。彼は個人として、主体性、決断力、活力の喪失を経験していた。自分のリーダーシップを特徴づけてきた「統率力」と迅速な行動という信条は、第1波のあいだに柔軟性を失い、独創性が薄れ、はるかに不安定になっていた。

 彼らの組織全体を分析すると、ほかのリーダーやマネジャーのあいだでも、こうした感覚が広まっていることがわかった。ストレスに絡む問題が目立つようになり、感情的な反応が二極化して、離脱するチームも増えていた。

 同様のことは、幅広い部門や起業に当てはまるだろう。「パンデミック疲れ」「思考にもやがかかった状態」「オンとオフのあいまいな境界」「引き延ばされる空白」「終わりのない待ち時間」など、筆者が耳にしたリーダーたちの言葉だけでも、さまざまな呼び方がある。

 筆者のクライアントたちは口々に、うんざりしている、辟易している、「2020年は厳しすぎた」と語る。景気のいい業界で働く人たちも「感情的に手足をもがれた」感覚だという。

 あるクライアント(ふだんは冷徹な人だ)は、「先日、理由もなく泣いてしまった」と言った。パンデミックの第1波の時と違って、エクササイズなどを心から楽しめくなったと語る人もいる。自宅用の真新しいフィットネス器具は、ほこりをかぶっている。職場のバーチャルな「ハッピーアワー」を楽しむ人もいなくなった。

 世界全体が疲れているようだ。ワクチンはトンネルの先に光を照らし始めたが、ゴール前の最後の直線は、まだ長い。仕事もプライベートも、予想以上に大きな負担を強いられるだろう。

 第2波を切り抜けるために、リーダーは自分とチームのメンバーのレジリエンス(再起力)を再検証しなければならないう。すなわち、障害を乗り越え、困難に直面しても立ち直って回復する能力と強さだ。あなたはプレッシャーにどのくらい耐えられるだろうか。失敗からどのくらい早く立ち直れるだろうか。

 ゴールまでチームを導くための精神的な強さをどのように持つか。それが最も重要になる。

世界中が疲弊している時に
リーダーがやるべきこと

 昨春(2020年)はアドレナリンに駆り立てられるように反応し、夏のあいだは偽りの夜明けに沸いたが、目下の第2波は、個人のレジリエンスについて新しい理解が求められている。

 第1波では、個人のレジリエンスは「覚醒」と呼ばれる心理的な緊急反応に依存していた。衝撃や脅威、突然の不確実性が私たちを極度に警戒させると、アドレナリンや闘争心、団結指向など、表面的な反応が活性化される。この反応は衝動的なもので、ほぼ普遍的でもあり、多くのチームで簡単に見て取れる。

 これに対し、第2波における個人のレジリエンスは「精神的なスタミナ」に依存する。精神的なスタミナは、個人のニーズや歴史、経験によって形成される、より深い感情のパターンに基づいている。

 スタミナが必要なのは、率直に言って、第2波はまるで刺激的ではないからだ。人々は退屈や疎外感を覚え、困惑している。第1波の表面的な反応とは対照的に、パンデミックのランダム性や陰鬱さ、負担に耐える根気や忍耐力が求められ、時には抵抗しなければならない。

 レジリエンスを高めるためには、感情を再構築し、チームのメンバーや同僚にこれまでとは異なる訴えかけをしていく必要がある。今後1年間の最大の課題を見定めて、あなたとチームがそこに到達するために必要な精神的スタミナを獲得することが不可欠だ。

 そのために重要なステップは3つだ。緊急性と重要性の違いを理解すること、思いやりと抑制のバランスを取ること、自分や周囲を活気づける方法を見つけることである。