3. 柔軟なマインドセットを持つ

 長期的なインパクトをもたらすには、方針や制度を変更するだけでは足りない。マインドセットも変える必要がある。

 従業員の間でもリーダーの間でも、定年は65歳で、子育てをするのは若い女性で、リーダーは高年齢の男性だという思い込みが存在する。それを克服するためには、まず本物のジェンダーバランスや世代バランスとはどのようなものかを、企業が積極的に示さなくてはいけない。

 社内、社外へのコミュニケーションを通じて、自社においてあらゆる年齢とジェンダーの従業員が働き、学習し、リードしていることを意識的に見せていくことで、よりポジティブでインクルーシブな組織文化をつくる助けになる。

 たとえば、ユニリーバは2020年3月、すべてのマネジメントレベルでジェンダーバランスを達成したと発表した。そこに至るまでに、同社は広告、特に世界的な広告賞を受賞したダヴのキャンペーンで、ジェンダーと年齢に関するステレオタイプを覆す努力を重ねてきた。従来の広告から、明らかな性差別や年齢差別を見つけて取り除き、年配の女性起業家から若い女性CEOまで、あらゆる年齢の女性が非伝統的な役割を担う姿を積極的に描いたのだ。

 同様の取り組みとして、筆者が2019年、インクルーシブな職場づくりに関するカンファレンスに出席した時、グーグルが画像ライブラリと画像検索のバランス改善に粛々と取り組んでいることを知った。これにより、画像検索で「CEO」や「親」と検索すると、さまざまな年齢やジェンダー、人種の画像が表示されるようになっている。

 これに対して、あるクライアント企業でコミュニケーションに関する調査を行ったところ、マーケティング資料に登場するのは中年以上の男性ばかりで、女性はほぼゼロであることが明らかになったことがある。

 この問題に対処するため、その企業ではマーケティングチームとコミュニケーションチームに研修を実施し、自社の顧客と人材のダイバーシティを正確に反映する資料につくり直させた。たとえ無意識であっても、この種の傾向は従業員と顧客の両方に強力なメッセージを送ることになってしまう。

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 平均寿命が延びてキャリアパスが移行する中、おおむね男性が占める高年齢の労働者と、女性労働者やミレニアル世代のニーズは、かなり重なるようになってきた。彼らは皆、家庭と職場で担うさまざまな役割に合った柔軟なキャリアパスを求めている。

 そのニーズに対応するには、企業は「ワークライフはマラソンである」というマインドセットを受け入れ、新しいキャリアモデルに応じた環境を整備する必要がある。さもなければ、時代から取り残されるリスクを抱えることになるだろう。


HBR.org原文:How Companies Can Meet the Needs of a Changing Workforce, December 18, 2020.