2. 柔軟なキャリアパスを認める

 新型コロナウイルス感染症の危機は、働く場所について企業により柔軟な対応を強いてきたが、変化する従業員のニーズにさらに適応する必要がある。日々の労働時間を柔軟にするだけでなく、就業期間が長期化することから、ワークライフ全体を通じてペース配分を見直さなければならない。

 ミレニアル世代、ペレニアル世代(60歳以上)、子育て中の就業者は、現在の就業者全体の過半数を占めている。そして、もっと柔軟な働き方をしたいという共通の希望を持っている。サバティカルを取りたいのかもしれないし、新たな学位を取得したいのかもしれない。育児休暇が必要かもしれないし、何らかの理由で伝統的な雇用形態から離れてみたいと思っているのかもしれない。

 こうした現実に対応するため、企業は従業員の人生におけるさまざまなステージに合った、従来とは違うキャリアパスを認め、奨励すべきだ。

 そのためには、年齢やジェンダーにかかわらず、生涯にわたって学び続けること、そして生涯にわたってケアの責任があることの両者を新たな標準として、積極的に認めていく必要がある。

 多くの若い親の間では、フレキシブルなパートタイム勤務の人気が高まっているが、それは女性に大きく偏っている。これは、現在も多くのマネジャーが、男性従業員がパートタイムのような非伝統的な働き方をすることについて、心からは認めていないためだ。

 しかし興味深いことに、こうした柔軟な働き方は、おおむね男性が占める高年齢のマネジャーの間でも人気が高まっている。彼らは、予想以上に長期にわたって働きたいと思っている、あるいはその必要があるのかもしれない。

 たとえば、男性が大多数を占めるあるプロフェッショナルサービス企業では、経営陣が50代に入ると、62歳定年制を導入した。だが現在、自分たちがその年齢に近づくにつれて、まだリタイアしたくないと思うようになった。しかしそれは、彼らが引退したら昇進できると思っていた多くの有能な女性たちにとって、困難な状況を生み出している。

 この問題に対処するため、その会社は根本からビジネスモデルをつくり直し、昇進の機会を増やすとともに、シニアの役割にパートタイムを増やした。どちらも10年前は聞いたことがない改革だ。

 多くの場合、企業が柔軟な働き方をサポートする第一歩は、本人たちに直接希望を聞くことから始まる。

 ある企業では、45歳以上の全従業員に今後の計画を聞く「中年期」調査を実施した(ただし希望者に限り、秘密厳守である)。その目的は、彼らの将来に対する考えを理解し、サポートすることだった。

 すると、従業員の信頼度とエンゲージメントの両方が大幅に上昇した。このプログラムが成功したことで、同社では同じプログラムを顧客にも提供し始めたほどだ。どのようなキャリアパスを思い描いているか従業員に聞くだけでも、よりよいサポートを提供する手段になる。