●協力し合って、価値を最大化する

 パートナーの双方が、家事や家族の世話を押しつけられて不公平だと思い込んで、いら立っている状況を考えてほしい。それぞれが家事を担当する時間を決めたり、家族の世話をするのに同じ時間を配分したり、それぞれに具体的なタスクを割り当てたりすることは、解決策としてはわかりやすいかもしれない。だが、はたして最善策といえるだろうか。

 パートナー間の好みの違いをうまく利用して協力し合えば、可能な限り最高の解決策を見出すのに役立つかもしれない。

 たとえば、最も効率よく働ける時間帯が異なる場合(午前あるいは午後)、それぞれが最も効率の上がる時間に仕事のじゃまをされないようにするのと引き換えに、それ以外の時間帯には家事や家族の世話をする。そう取り決めることで、利益を最大化できる可能性がある。

 ●互いを理解し、架け橋を築く

 双方にとって最重要なニーズに対処する解決策を見出すことが、さらに好ましい結果を実現するのに役立つ。そのためには、それぞれのフラストレーションの源を理解する必要がある。

 たとえば、息抜きできる時間がないことかもしれないし、仕事で大変なタスクに直面していることかもしれない。あるいは、子どもたちが遠隔授業で十分に学べていないことを心配しているからかもしれない。

 フラストレーションの原因を洗い出したら、2人で一緒に問題をとらえ直し、それらのニーズを満たすための計画を立てる。そうすることで、解決すべき問題が「家事と家族の世話に関わるタスクを、どうやって公平に分担するか」から、「2人にとって最も重要なことを成し遂げつつ、どうすればこれらのタスクを効率的にこなせるか」に変わる。

 いったん解決策ができても、「問題は解決済み」と断言しないほうがよい。合意したことを実行しているうちに、妨げになるものが必ず出てくる。

 コロナ禍のいまより落ち着いた状況にある時でも、交渉によって取り決められたことが実際にうまくいっているかどうか、繰り返しフィードバックする仕組みをつくるのが望ましい。現在のように状況が目まぐるしく変わる環境では、この点がいっそう重要になる。

 合意した内容が、双方にとって引き続き好ましい結果をもたらしているかを確認すべく、定期的に互いの様子を確認するとともに、外的環境の変化に伴ってニーズが変わることを認識し、状況に合わせてイノベーティブな方法で乗り切ろう。

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 プライベートな人間関係は大切なものであり、みずから破壊したいと思うことはないだろう。だからこそ、交渉戦略を家庭に持ち込むのは気が引けるかもしれないが、そうすることで状況が一変する可能性がある。

 交渉を問題解決のエクササイズととらえ直すことで、互いに協力しようとする意欲が増し、「問題には厳しく、人には優しく対応」するようになるうえ、2人にとって家庭というジョイントベンチャーがどれほど大切か明らかになる。

 緊急事態に対応しているうちに疲弊しきってしまいがちだが、重要な問題に対する戦略を数時間かけて練ることで、パンデミック後により好ましい関係に向かう道が築かれているだろう。


HBR.org原文:How Couples Can Find Balance While Working from Home, December 14, 2020.