作用している力を理解する

 ●役割をめぐる対立が増幅する

 仕事と家庭との間に明確な物理的境界線がないと、仕事と家庭における役割をめぐる緊張が増す。家族全員とペットの猫がダイニングテーブルを一緒に使おうとすると、仕事関係のタスクが家事の妨げとなり、家事が仕事の妨げになる。

 その余波が2人の関係にさらに重くのしかかり、それと同時に集中力が低下する。ニーズに関するコミュニケーションが犠牲になり、研究によれば、家庭におけるパートナーはこうした対立を解決しようと、性別に基づく役割分担へと逆戻りする。

 ●ニーズより関係維持が優先される

 家庭におけるパートナーのような親密な関係では、互いのニーズを満たすことよりも関係を維持することが強調されがちである。加えて、直接取り組むべき問題を避けたり、最も望ましい合意に達する前に渋々受け入れたりする。

 不均衡な妥協の結果として積もり積もった憤りで、むしろ対立は激しくなる。

 ●親密な関係ゆえ、読心術に頼る

 親密な関係は「透明性の錯覚(illusion of transparency)」も増幅させる。パートナーならば、あなたがどう感じていて、何を必要としているかを理解しているはずだと思い込んでしまうのである。

 そのため、自分が何を必要としているか明確に伝えていないにもかかわらず、パートナーに対して、あなたのニーズを理解し、それに応える行動を取ることを求める。パートナーが自分の期待に応えないと、失望するばかりか、パートナーが真面目にコミットしていないと疑いすら抱いてしまうかもしれない。

 ●その場しのぎの解決でバランスを崩す

 仕事と家事の責任分担について話し合う時には、「誰が何をするか」という問題をその場しのぎで解決しようとしがちだ。たとえば、一方に緊急ミーティングが入ったらもう一方が子どもの世話を担当し、食料品が底を尽きてしまったらより疲れの少ないほうが買いに走る。

 こうしたアプローチの問題点は、時間が経つにつれ、一方の火急のニーズがもう一方の重要なニーズより優先されるようになり、自由がゼロサムになることである。