『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』(DHBR)では毎月、さまざまな特集を実施しています。本稿では、最新号の特集テーマ「人を活かすマネジメント」への理解をさらに深めていただけるよう、関連する過去の論文をご紹介します。

 DHBR2021年3月号の特集テーマは「人を活かすマネジメント」である。

 組織の生産性向上を目的に機械やAIを導入する企業が増え、コロナ禍でのリモートワーク推進も相まって、効率性や合理性の追求に拍車がかかっている。その半面、従業員のやる気、ひいては組織の潜在的な能力を損ねていないだろうか。

 人材マネジメントは、テイラーの「科学的管理法」に代表される最適化アプローチで行うべきか、それともメイヨーらが打ち出したような従業員を公正に扱う手法を取り入れるべきか。労働者の創意工夫を促す後者が優勢だった時もあるが、最近は人工知能(AI)などテクノロジーの進歩によって前者手法の魅力度が増している。

 ペンシルバニア大学ウォートンスクール教授のピーター・キャペリ氏による「従業員はアルゴリズムで管理できるのか」では、いくつかの事例を検証し、実際は両者には一長一短があり、バランスよく組み合わせることが効果的であると論じていく。

 多くの従業員が、能力向上や価値創造の機会を持てないでいる。筆者らは、その根底に賃金水準と能力に対する偏見があるとする。偏見が蔓延している企業では、従業員とマネジャーを「従者」と「賢者」の関係に当てはめ、さまざまな機会を奪う。

 これを打破する方法が、従業員へのエンパワーメント(権限委譲)の徹底である。その実現は容易ではないが、成功している企業はある。

 ロンドン・ビジネススクール客員教授のゲイリー・ハメル氏らによる「現場の潜在力を引き出すマネジャーの心得」では、フランスのタイヤメーカー大手ミシュランの事例から、エンパワーメントを推進する手法を5つのステップで解説する。

 コロナ禍によって、同じ場所にみんなで集まって働くという前提が崩れ、新たな人事管理、組織設計、テクノロジーの活用が企業に求められている。個人ベースの働き方が増えることで組織のイノベーション活動にどのような影響が及ぶのだろうか。

 一橋大学名誉教授の野中郁次郎氏へのインタビュー「身体知こそイノベーションの源泉である」では、25年前に提唱された組織の知の創造メカニズムであるSECIモデルを発展させた新著『ワイズカンパニー』の内容も含め、デジタル時代における知の創出活動について聞いた。

 組織の生産性を高めるべく、AIを導入しようとする企業がますます増える中、仕事を奪われることに対する社員の不安は依然、払拭されていない。AIは人間を支援するために導入されるべきであり、そのことを明確化している企業は、生産性に関わるスピード、拡張性、意思決定の有効性において、他社を大きくリードしている。

 INSEAD助教授のボリス・バビッチ氏らは、AIを社員の代替ではなく仲間として受け入れるには、新人のオンボーディング──戦力化のための研修プロセス──に倣うことを勧める。「AIが真の同僚となる日」では、AIの導入をスムーズにするためのアプローチを4段階に分けて解説するとともに、社員とAIが相互に教え合い、持続的に成長するための方法を提示する。

 山口県の山奥で誕生した純米大吟醸「獺祭(だっさい)」は、日本のみならず、欧米やアジア諸国でも高く評価される銘酒となった。

 蔵元の旭酒造は、杜氏(とうじ)の勘と経験に頼らず、データと機械による数値管理の酒造りを実現し、日本酒業界に革命を起こしたといわれる。ただし、人間の仕事を否定したわけではない。うまい酒を造ることだけを追求し、機械に任せるべきこと、人に任せるべきことを見極めた結果、そのやり方にたどり着いた。

「データと機械と人の力で最高の日本酒を造る」では、旭酒造3代目であり、獺祭の生みの親である桜井博志氏が、データと機械と人の力を融合したモノづくりを実現するための要諦を示す。