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働く母親の多くがワークライフバランスの問題を抱えるように、働く父親にも彼らが直面する問題がある。会社に育休制度や柔軟な勤務制度があっても、キャリアにネガティブな影響が出ることを恐れて利用を避けたり、子育てに関与していること自体を同僚に知られないようにしたりする。双子の父親であり、CEOとして家族のケアを支援する企業をリードする筆者は、そうした行動は不健全だと指摘する。制度だけでなく、働く父親を支援する組織文化を育むことは、当事者のみならず、組織にもポジティブな効果をもたらす。そのためには、まずリーダー自身が手本とならなければならない。


 双子の息子が誕生した日は、私の人生で最も幸せな日だった。でも、1つだけ後悔していることがある。病院に到着する直前まで、エグゼクティブチームと電話会議を行なっていたことだ。

 あの電話をなかったことにできればいいのにと、つくづく思う。だが、目の回るような展開で、幸せな気持ちでいっぱいになりながらも、私は重責を感じていた。自分はCEOである以上、どんな時も仕事に対応できる状態になくてはならない。何があっても、だ。

 私の「いつでも対応可」という姿勢は、さらに続いた。当時勤務していたIACは、有給の育休を取れる制度があったにもかかわらず、私が取得したのは1週間だけ。しかも、数週間に分けて少しずつ取得した。

 さらに自宅にいる時でも、親になった喜びと新しい発見の連続と睡眠不足(しかも双子だ!)の中で、私は働き続けた。電話を取り、メールに返事を書き、スプレッドシートをチェックして、決定を下した。

「ビジネスが止まることはない。だから、私も止まっていてはいけない」と、自分に言い聞かせた。「何百人ものスタッフが私を頼りにしている。彼らを立ち往生させるわけにはいかないのだ」。たとえ1週間であっても、仕事から完全に切り離されるのは許されない。そう、自分で自分を戒めた。

 これは働く父親に共通する問題だ。シニアリーダーやマネジャーの場合には、なおさらだろう。

 有給の育休を付与する企業は増えている。米国人材マネジメント協会(SHRM)の調査によれば、2019年には米国企業の30%が育休を付与している。2016年の21%から大幅な上昇だ。だが、父親になったばかりの従業員が実際に取得するのは、制度上認められて期間よりもはるかに短いことがほとんどだ。米労働省によると、有給の育休を取得した父親の70%が、10日以下で仕事に復帰しているという。

 それは、なぜなのか。最大の理由は、リーダーシップによる支援が欠けていることにある。ボストンカレッジのセンター・フォー・ワーク・アンド・ファミリーが行なった2019年の調査によると、育休を取得した男性の55%が、シニアマネジメントが彼らの選択を全面的に支持しているようには感じられないと答えている。