チャンスはどこにあるのかを見極める

 過去に失敗したことを成し遂げるために、ハイテク企業には人材の発掘と維持の新たなアプローチが必要だ。その第一歩として筆者が推奨したいのは、立地に縛られずに質の高い人材に現地で会うことと、そのような人材を維持するための好条件を備えた地域を見つけることである。

 我々の研究活動の一環に、IDEA 2030(すべての人のためのデジタルエコノミー構想)がある。マスターカード・インパクト財団の後援を受け、マスタカード・インクルーシブ・グロース・センターと共同で立ち上げた活動であり、この中で2つの主要指標を開発した。

 一つは「ハイテク人材多様性」指数だ。ハイテク人材予備軍におけるマイノリティ層の割合(STEM〈科学・技術・工学・数学〉またはそれらに関連する学位取得者を、潜在的ハイテク人材の代理変数として用いた)と、それが全米の州にどう分布しているかを分析したものである。

 2つ目の指標は、各州の「デジタル・レディネス(デジタル対応)」指数だ。これは在宅勤務のしやすさ、公共サービスをオンラインで利用できるか、インターネットへのアクセスがインクルーシブか、などの特性に基づいている。

 これらの指数を、人材の誘致と維持に寄与する2つの重要な社会経済的要因に照らしてマッピングした。生活費と、州内の労働人口に占めるハイテク従事者の割合だ。その人数が多ければ、近場で支援的な職業人脈が生まれる。

 この分析結果はハイテク企業にとって、ダイバーシティの欠如を改善して行動を起こすための戦略を進めるうえでヒントとなる。多様な人材の宝庫がある地域に自社の採用資源を集中させるために、そして人材と生産性の維持に寄与する地域を見極めるためにも、この分析を活用できるはずだ。

 ジョージア、テキサス、デラウェア、バージニア、コネチカット、メリーランドの6州は、ハイテク人材多様性指数で上位を占め、カリフォルニア、ニューヨーク、マサチューセッツという伝統的なハイテク集積地から離れている。そしてハイテク従事者の割合も多く、現在のハイテク集積地よりも生活費が安い。これらの要因はすべて、人材維持と生産性の向上に寄与する。

 この6州は合わせて中核的な「ターゲット州」となりうる。大手ハイテク企業にとって、人材の多様化に向けた採用戦略を策定するための手付かずのチャンスがここにあるのだ。