大手生保初のCVCファンド設立で目指すもの

石川 生命保険会社が提供するプログラムなのに、保険と切り離すというのは大きな決断ですね。そこまでしなければならない必要性を感じたということでしょうか。

高田 社内では「保険会社ではなくなってしまうのでは」という抵抗もありました。それでもVitalityには、体験・体感することで分かる、通常の保険にはない価値があります。まずは一度経験してもらうことが重要であると考えて、体験型サービスのトライアルの実施に踏み切りました。

 また、SNSなどを通じてVitality会員同士がつながり、「Vitality仲間ができた」という声を頂いています。仲間が増え、家族や友人間でVitalityを薦め合ってくれている。その点でも、まずは体感してもらうことがとても重要であると考えています。

石川 まず体験してほしいということですね。Vitality健康プログラムを体感してもらえば、行動変容ができる、そしてよりよく生きているという実感も持ってもらえる、という自信を感じます。しかし、体験者の幅が広がると、それぞれのニーズに合った、多彩なインセンティブの提供が求められます。パートナー探しにも大変な労力が必要となるでしょう。

 エコシステム・パートナー探しについては、大手生保初のCVCファンドも立ち上げられましたね。

高田 事業共創を推進する活動の一環として、「SUMISEI INNOVATION FUND」を創設しました。社会課題について、あるいは新しい時代に向けた価値提供へのチャレンジとして、新しい知識や知恵をベンチャーと共に創造していきたいという観点から立ち上げたファンドです。

石川 特に今後強化したい分野はございますか。

高田 例えば、ヘルスケアサービスを提供するに当たって重要となるバイタルデータの収集について、ウエアラブルデバイスなどの進化が続いていますが、まだ、脈拍や歩数、血圧、酸素濃度などが分かるレベルです。新たなテクノロジーの出現によって、もっと簡単にさまざまなデータを収集することができるようになれば、現在のヘルスケアの概念やアプローチも大きく変わっていくかもしれません。そうした面からも、医療やヘルスケアといった垣根を越えて、さまざまな業種のパートナーと組み、新たな価値を提供していくことが必要だと思います。

石川 先ほどご紹介いただいた例では、小売業と組んだプログラムもありました。分野を限定せず、幅広い視点でパートナー企業を探しているということですね。

高田 保険業界における世界の潮流は「保険事業+α」の展開です。ディスカバリー社では、Vitalityを軸に金融ビジネスなどにも拡大を図っていく戦略を進めています。もともと生命保険はデータビジネスの側面がありますが、そこにバイタルデータや行動データなども加え、どんな新たな価値を提供できるか、提携企業と協力しながら、新たなビジネスを模索していきたいと思います。

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