Vitalityを核とした新たな価値の提供

石川 生命保険の存在価値が大きく変わり、Vitalityを具体的事例として、いかによりよく生きるための支援を行ってきているか、というお話を伺いました。一方で、これからの生命保険会社が目指すべき将来像について、どのようなイメージを描いていらっしゃいますか。

高田 われわれが目指すべき姿としてはWaaS(Well-being as a Service)というものを掲げています。これは保険という1つの商品ではなく、Well-beingのためにサービスとして、さまざまな価値を提供していくという考え方です。

 人々が健康に、Well-beingな人生を過ごすために、当社をはじめとしてたくさんの事業者がサービスを提供しています。しかし、現段階ではその多くが単発で、しかもピンポイントで顧客と接点を持っているにすぎません。

 ここにわれわれの持っているビッグデータや顧客とのつながりなどを活用することで、多くの事業者をつなげ、連携して顧客のWell-beingのためのサービスの提供ができれば、そこには有機的なつながりが生まれます。顧客一人一人の現状に適したサービス提供を進める上で、自社のみでできることには限界がありますが、提携企業を増やせばプログラムの選択の幅の拡充が可能になるでしょう。そうすれば、さらに顧客の健康増進につながる効果が期待できます。

 Vitality健康プログラムは、その中核になれる存在だと思っています。いわばVitalityを核としたエコシステムの確立です。

 例えば、Vitalityでは2020年11月からイオンリテールさまと提携して「イオンヘルシーフード特典」を提供しています。これは、イオンの対象店舗で、対象の野菜・果物を購入すると、購入額の最大25%相当のVitalityコインが獲得できるというもの。このように生活に密着したリワードが提供できれば、保険を意識しなくても健康増進につながります。

顧客層が広がれば、年齢層によってフィットするものも異なります。ですから、パートナーを増やし、いろいろなメニューを提供してVitalityのネットワークそのものの価値を上げていこうと取り組んでいます。

石川 生命保険の枠を超えて、“ありたき未来”を描き、エコシステム・パートナー企業と共にサービスを提供することで、「よりよく生きる」を実現していくことを将来像として掲げておられるのですね。

 WaaSの実現に向けて、具体的にチャレンジされている事例はありますか。

高田 前述のディスカバリー社は、世界各国のVitalityパートナーと共に「2025年まで世界で1億人の活動量を20%アップさせる」という目標を明確に掲げています。

 われわれも将来に向けたSDGsのチャレンジとして、健康長寿社会への貢献を掲げています。2050年には100歳以上の人口が50万人を超えるといわれている超高齢社会の日本において、全ての人に健康と福祉を提供する。これはSDGsの一翼を担う事業者として欠かせない取り組みであり、そのために当社では「Vitalityに関する事業の推進」と「人生100年時代を見据えたサービスや情報提供の推進」の2つを挙げています。

 社会的な認知度を上げるために、保険商品単独では限界がありますから、保険や健康に関するイベントへの協賛などを行っています。一例を挙げると、パークラン[1]という英国発祥のイベントに協賛し、Vitality会員がイベントに参加するとVitalityのポイントが獲得できる仕組みとしています。現在、日本全国で22カ所の公園で行われていますが、3年後には100カ所の公園で開催できるように広げていきたいと計画しています。

 また、Vitalityの理念に理解を示してくれている自治体や企業、個人に向けて、保険と切り離してVitality健康プログラムだけを試していただける体験型サービスのトライアルの実施を開始しています。


[1] 毎週土曜日朝定時(日本では8時)から行われる参加費無料の5kmのウオーキング、ジョギング、ランニングなどを行う英国発祥の運動コミュニティイベント。