もっと幸せになりたい人のための
正しいお金の使い方

 ●物ではなく体験にお金を使う

 ローンの申し込みをした人たちを対象とした前述の調査では、30歳未満の人々の80%以上が、ガジェットや服など物質的な物よりも体験、たとえば旅行やコンサート、特別な食事に支出するほうが幸せを感じられると答えていた(回答者の62%が20~30代のZ世代またはミレニアル世代だった)。

 それでもなお、物質的な物を買う誘惑には屈しやすい。その理由の一つは、比較が容易だからだ。

 筆者らの一人(エリザベス)は自分のiPhone 8に心から満足していた。しかし、それはピカピカの新しいiPhone 11発売というテキストメッセージを受信するまでの話だった(頭金不要!)。その後、急速に古びたように感じるiPhone 8をテーブルやベッドサイドテーブル、シンクの端にしょっちゅう置きっぱなしにして、それがダメになるのを無意識に待っている自分に気づいた。

 このような行動は珍しくない。魅力的なアップグレード版が出ると、すでに持っている製品に気を遣わなくなることが多いことが研究でも示されている。

 物質的な物は、いとも簡単に比較できる。だからこそ、なかなか満足もできない。結局のところiPhone 11でさえ、上位モデルのiPhone 11 Pro Maxと比べると、それほど素晴らしく見えないだろう。一方、体験はそう簡単に比較できるものではない。

 ●時間を買う

 特別な体験を楽しむための時間を見出すことは、難しいかもしれない。多くの責任を果たそうとしている人にとっては、なおさらだろう。とはいえ、ギグエコノミーのおかげで、大勢の人々が自由に使える時間をより簡単に、より手頃な値段で買うことができるようになっている。

 ドアダッシュ、ダンゾ(Dunzo)、タスクラビットといったよく知られている時短サービス以外にも、消費者はハロー・アルフレッド(Hello Alfred)のようなクリエイティブな会社の手を借りている。ハロー・アルフレッドは現代版の執事サービスだ。同社の広範にわたるサービスを享受した会員は、累計で50年分以上の時間を節約したと主張している。

 目下の経済状況を考えると、時短サービスにお金を使うのは贅沢な行為だと感じるかもしれない。しかし、我々が新型コロナウイルスのパンデミックの最中に1万5000人を対象に調査したところ、時間を買った(たとえば時間節約のために高価な食料品を近場の店で買った)と答えた人々は、そうしなかった人々よりも生活満足度が10%高かった。注目すべきことに、この関係性は年収4万ドル未満の人々の間でも成り立った。

 間違いなく、時間を買うことは幸福感を高めるようだ。2017年に発表された研究の一部では、週末に時短サービスを購入するためとして、60人の働く成人が40ドルを受け取った。この60人は別の週末に物品を購入するためとして、別途40ドルを受け取ってもいる。

 その結果、物品を買った時と比べて、時間を買った時のほうがいっそうポジティブなムードになり、時間的制約のプレッシャーが減った。にもかかわらず、この調査対象とは異なる働き手に、もし思いがけず40ドルが手に入ったら何に使うかと尋ねると、時短サービスを利用するつもりだと答えた人はわずか2%だった。