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思っていた地位に就き、仕事もうまくいっている。一流の学歴もある。今度は自分で会社を興して、日々奮闘している――。周囲からは華やかなストーリーに見えたとしても、本人も「これが最善の自分だ」と思っているとは限らない。自分が何に価値を置き、本当はどこを目指したいのか。それを明確に理解していなければ、内なる光を本当に輝かせることはできないのだ。本稿では「ライフホイール」や「ジャーニーマップ」を活用し、限定的な考えから自分を解き放つことで、最善の自分になるための方法を伝授する。


 2020年初頭、自分の生産性とウェルビーイングを改善するために、私は3週間のワークショップに参加した。初回のセッションが始まった時は、ごく普通に思えた。世界各地から集まった参加者は私を含めて20人。自己紹介をした後、それぞれ自分を見つめ直すエクササイズに取り組んだ。

 中央に大きな円が印刷された紙が、1枚ずつ配られた。円は8等分されていて、それぞれに項目名が記されていた「キャリア」「恋愛」「健康」「家族」「人間関係」「精神性」「娯楽」「経済」だ。

 それぞれの項目について、自分の人生でどのくらい満足しているかを、1(非常に不満)から10(非常に満足)までの段階で記入する。私も自分の円を埋めていった。娯楽は4、家族は2、経済は1。ほんの数分間で、私は自分の存在意義を見失いかけた。

 当時の私は、新しい事業を立ち上げたばかりだった。企業の世界で大きな成功を収め、一流の研究機関で博士号を取得していた。しかし、自分のシートを見ていると、それらの出来事はいずれもたいしたことではないと思えてきたのだ。

「ジェニファー?」と、ワークショップのファシリテーターが言った。「あなたの結果を発表してみませんか?」

 私は顔を真っ赤にして、椅子の中で縮こまった。20人の知らない人たち、それも2時間足らず前まで顔も見たことがなかった人たちに、自分をさらけ出すなんて、戦闘地域の真ん中に足を踏み入れるようなものだ。

 私はとても内向的な人間だ。企業で働いている時は、仕事用の顔をつくって毅然とした態度を装い、同僚が私の不安や心配を気づかないように注意していた。起業家としてはまだ、いろいろなことを覚えている段階だった。

 起業して1年が経っていたが、適切なクライアントにアプローチして自分のサービスを売り込み、仕事と私生活のバランスを取って燃え尽きないように格闘していた。経済的にも順調とは言えなかった。