(3) 少なくとも1000人の顧客を得られたか、あるいは得られるか

『WIRED(ワイアード)』誌を共同で設立し、創刊編集長を務めたケビン・ケリーは「1000人の本物のファン」というエッセーで次のように書いている。

「1000人の本物のファンは、スター以外にとっての成功の道のりだ。ベストセラーやブロックバスターやセレブの地位など、狭き門をくぐり抜けて、あり得ないほどの頂点に立とうとするのではなく、1000人の本物のファンと直接つながる道を選ぶこともできる。
 そうすれば、その後、どんなにたくさんのファンを獲得しても、一時的な熱狂に惑わされず、純粋かつ真の評価に囲まれる。望むなら、そのほうがずっと健全な道のりであり、実際に成功する可能性もずっと高い」

 つまり、必ずしも次のグーグルやフェイスブックをつくることを目指す必要はない。たとえそれが目標だったとしても、成功したければ、最初の1000人にあなたが構築するものにお金を払ってもらうにはどうしたらいいかを、まず考える必要がある。

 これは簡単に聞こえるかもしれないが、自分のプロダクトに人にお金を払ってもらうには、やり抜く力(グリット)が必要だ。投資家が見つかっていない場合は、なおさらである。

 まずは、コミュニティエクスペリエンスを重視して、1000人の顧客を獲得することから始めなくてはならない。もし人々が、あなたが公言したミッションを達成する方法に賛成してくれたら、あなたに信頼を置く可能性は高まる。

 ネットワーク・キャピタルは、最初のサブスクリプションユーザー1000人を、予想したよりもはるかに早く獲得できた。それは正式なローンチ前に、フェイスブックで育てたコミュニティのおかげだ。コミュニティ構築の大部分は、創業者が潜在的なユーザーと個人的なつながりをつくるなど、スケールできないことにある。

 エアビーアンドビーの共同創業者たちも、創業当初にこうしたことに力を入れた。ゲストの質問にみずから答え、街を案内し、物件の写真を撮影し、特別な朝食を用意した。当時の民主党の大統領候補バラク・オバマと共和党の大統領候補ジョン・マケインを象徴するシリアルを用意したのだ。つまり、ゲストと個人的なつながりをつくる正真正銘の試みを行ったのだ。

 そこまでやる必要はなかったかもしれないが、旅行者のコミュニティをつくるために努力したことで、信頼をスケールさせることができた。そのおかげで、エアビーアンドビーのビジネスは軌道に乗り、さらに勢いを増し、適切なシステムとプロセスを構築して、現在のような巨大ビジネスに成長した。