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安定した仕事を辞めてまで、夢を追いかけるべきか悩むのは当然のことだ。すでに副業として力を注いでいるプロジェクトがある場合には、なおさらだろう。マイクロソフトに勤務しながら、自身のプロジェクトを立ち上げた筆者も同じ状態にあった。名門大学のフェローとして英国に赴き、ロンドンに住む恋人と結婚し、研究期間が終わったらインドに戻り、マイクロソフトでの仕事を続けながら、自分のプロジェクトに力を注ぐ。コロナ禍でこれらの計画がすべて白紙に戻った彼は、改めて夢を追いかけるべきか自問する。本稿では、筆者の経験を踏まえ、決断を下すために必要な4つの問いを紹介する。


 人が最も仕事を辞めがちなのはいつだろうか。

 答えは、その仕事を始めてから約1年後だ。それは「よりよいポジションを求めて転職するとしても、とりあえず1年は続けてみるべきだ」(少なくとも、将来の転職先から「責任ある人間」だと思われたいなら)という、転職にありがちな「神話」のせいかもしれない。だが、データを詳しく調べていくと、もっと興味深いパターンが見えてくる。

 たしかに、転職活動は入社してから1年や2年といった節目のほか、誕生日や主要なライフイベント、そして面白いことに高校や大学の同窓会の後にも急増する。研究によると、これは人生の節目や重要なライフイベントが、自分の現在地を見直し、新たなスタートを切るきっかけになるからだ。

 私がこのテーマに研究者だからという理由以上に、個人的な関心を持っているのは、私自身、マイクロソフトに勤めて6年目の記念日に会社を辞めたからだ。それも、新型コロナウイルス感染症が世界的に流行している真っ最中に、である。

 2020年の夏、私の人生の計画はひっくり返ってしまった。本当なら、オックスフォード大学のチェブニングフェローとして英国に赴き、ロンドンに住むデータサイエンティストの恋人と結婚するはずだった。結婚式は世界中から友人を招いて、少しばかり風変わりな場所で行おうと思っていた。

 研究員の期間が終わったらインドに戻り、マイクロソフトでの仕事を続けながら、週末は、かねてから情熱を注いでいるプロジェクトにあてる計画だった。それは、P2P(ピア・トゥ・ピア)のメンタリングコミュニティをつくるネットワーク・キャピタルという会社を育てることだ。

 だが、ご想像の通り、すべての計画が白紙に戻ってしまった。

 結婚式を挙げるはずだった6月7日、私はニューデリーの書斎で、結婚式が執り行われていたらどうなっていたかを想像し、これからどうしようかと考えた。

 私はマイクロソフトの仕事が大好きだったが、ネットワーク・キャピタルを設立したことにも大きな意義を見出していた。しかし、英国にいる恋人の近くにいる方法も考え出さなくてはいけなかった。

 世界中の国々でロックダウンや渡航制限が実施され、国境は閉ざされていた。人々は一夜にして、在宅勤務に切り替わった。自分で何らかの行動を起こさなければ、恋人との関係を含めて、多くのことがもう元通りにはならないことに私は気づいていた。