●オーセンティシティを示す

 分析によれば、インクルーシブ・リーダーの大半は平均的なシニアリーダーに比べ、オーセンティック(真実性・真正性がある)と見なされる傾向が22%高かった。これはどういう意味か。起業家のセス・ゴーディンは、オーセンティシティを「一貫性のある感情労働」と定義している。

「あるブランドや人物に一貫性があり、誰かが見ていてもいなくても同じように振る舞う時、私たちはそれをオーセンティックと見なす。約束したことと行動が一致している人は、オーセンティックである」

 コミュニケーションにおけるオーセンティシティは、リーダーがどれほど自分らしく見えるか、自然に話しているか、言葉が意図および行動と一致しているかに関する聞き手の認識を表わす尺度である。

 インクルーシブ・リーダーシップという観点からのオーセンティシティは、「聞き手に向かって話す」のではなく「聞き手とともに話し合う」能力を指す。

 オーセンティックではない話し手は、相手によって異なる人格を見せるかもしれない。たとえばあるCFOが、1対1の会話では共感的でオープンだが、聴衆へのプレゼンテーションでは非常に形式張ったパフォーマンスモードに入り、ともに話し合うのではなく宣言をするような場合だ。

 好ましい例としては、ペプシコのインドラ・ヌーイCEOは当社のデータベースにおいて、オーセンティシティが最も高い話し手と評価されている。このデータベースには、聞き手の(意識的および無意識的な)認識を左右する30以上のコミュニケーション要素について、多様な顔ぶれの識者が評価したサンプルが20万件以上含まれている。

 ヌーイの口調はリラックスした自然なものであり、「舞台」用の不自然な声ではなく、自分自身の声を使っている。ジェスチャーも、主張している内容に見合っていると感じられる。

 オーセンティシティに欠ける話し手は、舞台上のジェスチャーに堅苦しさや大げさな様子が見られる場合がある。しかしヌーイはメッセージを強調する際に、手を自由に活き活きと使っている。まるで友人とのくだけた会話で見せる仕草のようだ。

 過度のつくり込みやリハーサルの形跡を感じさせない、自然なコミュニケーションのスタイルによって、この話し手は自分の言葉を心から信じているのだろう、という印象が伝わる。聞き手を惹きつけ、記憶に残る。聴衆と深くつながり、メッセージに対する傾聴と受容を同時に促すことができる。つまり自然に話す目的は、理解を促進することなのだ。

 もちろん、公の場でのスピーチと1対1での会話では、変えるべき部分もある。後列の人にもメッセージがしっかり伝わるよう、発声を大きくしたり動き方を変えたりもするだろう。

 とはいえ、それらをパフォーマンスらしく映らないように行うことが望ましい。自分の偽らざる感情と振る舞い、そしてメッセージに込めた信念を通じて、聞き手と本物のつながりを築く方法を以下にいくつか示す。

 この調査を通じての発見は、「言葉による意思表示」と「リーダーとしての実際の成果」の違いを正しく見極めるうえで役立つ。およそあらゆる業界で、インクルージョンの促進を誓うリーダーを筆者らは非常に多く目にする。しかし、その理念をみずからの行動と態度によって証明しなければ、そこから先の進歩はない。

 幸いにも、コミュニケーションはほかのあらゆる科学と同じように、分析し、学び、習熟することが可能である。


HBR.org原文:What Inclusive Leaders Sound Like, November 19, 2020.