インクルーシブ・リーダーに
最も顕著な3つの行動

 ●聞き手中心の言葉を使う

 調査によれば、インクルーシブ・リーダーは平均的なシニアリーダーに比べ、聞き手に合わせた言葉を使う頻度が36%高かった。つまり、聞き手のことを第一に考えようと努め、聴衆のニーズ、価値観、関心、人口属性の構成に自分のメッセージを合わせるのだ。

 これを実行するには、時間を費やして聞き手について理解し、自分のメッセージを相応に調整する必要がある。聴衆はどんな言葉、逸話、関連情報、事例にみずからを関連付けるだろうか。どんなテーマや価値観の下に、その場に集まっているのか。このことを深く考え、彼らに共通するものを見つけ出そう。

 聴衆が従業員リソースグループ(ERG)のメンバーであれば、全社的な施策を示し、それがERGの目的にどう影響するのかを直接的に述べよう。相手が株主の場合は、同じ施策をROI(投資利益率)の観点から聞きたいはずだ。サステナビリティへの意識が高い消費者に対してであれば、その施策による環境へのインパクトについて述べるとよい。

 また、聞き手と自分では視点が異なるかもしれないという点を忘れないことが重要だ。

 たとえば先頃、ある会社のリーダーは従業員に対し、コロナ禍におけるレジリエンス(再起力)と生産性について語った。しかし、彼が挙げた例は、自分が所有する州外の別荘に避難して「日々の煩わしさから逃れる」ことができたという、自身の個人的な話に限られていた。

 一方、聞き手である従業員の多くはニューヨーク市内に住み、アパートの自宅を自分のオフィスや子どもの教室に模様替えし、簡単に避難できる場所などなく、窓の外から抗議デモの声が響く中で働いている。

 このリーダーは、立ち止まって聞き手の視点を考慮するということをせず、結果的にそのメッセージは共感されず、無神経で、団結よりも反感を招いた可能性が高い。

 このような事態を避けるには、信頼できる同僚や助言者に相談して重要なプレゼンテーションをチェックしてもらうことを検討しよう。特に、言葉の中に包摂性が表れているか(または欠如しているか)を聞き分けられる相手に頼むとよい。

 インクルーシブ・リーダーはまた、聞き手の意見――つまり相手が誰かだけでなく、何を言いたいのかも考慮する。率いる対象が小さなチームであれ会社全体であれ、ニーズと懸念を表明できる機会を従業員に定期的に与えよう。フィードバックを求め、それを受け入れ、可能なものは実行に移すべきだ。

 話し手は聞き手の意見を聞きたいと言いながら、フィードバックや質問のための具体的な機会を設けないことがあまりに多い。そうした場への参加を阻んだり、フォローアップをすると約束したのに怠ったりすれば、聞き手の心はすぐに離れていく。

 焦点を自分ではなく相手に置くには、「私」の代わりに二人称代名詞(あなた/あなたの/あなたたちの)を使うとよい。そうすればメッセージに聞き手を内包できる。

 性差のある言葉には注意しよう。「チェアマン」や、非公式な場での「Listen, guys(みんな、聞いてよ)」の代わりに、「チェア」や「チーム」などジェンダーインクルーシブな言葉を使うとよい。

 以下にいくつか、よく使われるが避けるべき非包摂的な言葉と、代わりに使うべき言葉をまとめた。