HBR Staff

ほぼすべての業界で、リーダーたちはインクルージョンを促進するという誓約を掲げている。しかし、その理念をみずからの行動と態度によって証明しなければ、そこから先の進歩はない。筆者らは先頃の調査で、リーダーが話す際のどんな振る舞いが聞き手にインクルーシブなリーダーであると実感させるのかを特定するために、計算言語学、音声マッピング、顔の微表情の解析を組み合わせて適用した。本稿では学習、訓練、習熟が可能な3つの行動様式を提示する。


 リーダーはインクルーシブ(包摂的)な組織の構築に取り組む際、全従業員の発言権を守ることを、自社のミッションやビジョン、価値観や約束として掲げることから始める場合が多い。しかし、日常における従業員とのコミュニケーションのあり方を変えなければ、肝心の部分が抜け落ちたままとなる。

 我々クオンティファイド・コミュニケーションズのチームは先頃の分析で、インクルーシブ・リーダーの話し方を検証した。その結果、インクルージョン重視の標榜とは裏腹に、実際にインクルーシブなコミュニケーションの方法を身につけているリーダーは非常に少ないことが判明した。

分析

 調査でははじめに、コミュニケーションの専門家50人(スピーチ、修辞学、対人影響力、組織コミュニケーションなどを専門とする人々)に、30人の話し手を観察してもらい、重要な場面で実際にインクルーシブであるか否かを評価してもらった。

 50人の専門家チームは全員が上級学位を持ち(うち過半数が博士号)、人種は70%が白人かヒスパニック系またはラテンアメリカ系、20%が黒人、8%がアジア系、2%が2人種または多人種の混血だ。彼らは話し手を観察した後、それぞれを1~7段階のリッカート尺度で評価した。

 次に、当社独自の計算言語学、音声マッピング、顔の微表情の解析によって、これら30人のコミュニケーション行動を分析した。どんな語彙、代名詞、フレーズを使ったのか、どんな声、顔、ボディランゲージで話したのか、である。

 調査チームはその後、リーダーのどんな行動が聞き手にインクルーシブなリーダーであると認識させるのかを特定するために、両方の結果(行動分析と専門家による評価)を検証した。

 さらに、インクルーシブなリーダーのコミュニケーション行動を、同じ項目(語彙選択、音声パターン、非言語シグナル)に基づいて評価されたフォーチュン1000企業のシニアリーダーたちに関する大規模なデータ群に照らして比較した。インクルーシブと見なされたコミュニケーション行動が、(すべてのシニアリーダーに顕著なわけではなく)インクルーシブなリーダーたちに固有のものであることを確かめるのが狙いだ。

 この調査は、2つの問いに答えることを主眼とした。第1に、「リーダーに本当に包摂されている」と聞き手に感じさせるためには、どんな行動が重要なのか。第2に、インクルーシブ・リーダーはそれらの行動を、同等職の平均的なリーダーに比べてどれほど頻繁に示しているのか、である。