セルフ・コンパッションを
習得する方法

 セルフ・コンパッションの恩恵を受け入れることは、最初の一歩にすぎない。問題は、それをどのように培うかということだ。その出発点となる主要なエクササイズには、次のようなものがある。

 ●瞬時のエクササイズを行う

 最も簡単に始められるのは、日常に組み込みやすい5秒から20秒のエクササイズだ。会議を始める時、デスクや食卓に座る時、あるいはメールに返信をする合間にも実践できる。こうした瞬間に3回深呼吸をして、1回ごとに次の3つについて考える。それぞれ、セルフ・コンパッションの核となる要素につながっている。

・マインドフルネス:「いま、とてもつらい」「緊張している」。自分の感情に意識を向けることによって、それに圧倒されることなく、より明確で賢明な決断ができる。

・共通の人間性:「自分だけではない。ほかのリーダーも同じような困難に直面している」。つらいのは自分だけではないと認識することは、ウェルビーイングを支え、他者とつながっているという感覚をもたらし、自分の行動によって影響を受ける可能性のある人々のことを考えられるようになる。

・自分への優しさ:「困難に直面しているのだから、自分に優しくしてもかまわない」「いまこそ、どのように優しくできるだろうか」。自分を大切にすることは、自分自身のモチベーションを高め、他者を助ける余裕を持つために不可欠だ。

 この短いエクササイズは、周囲に知らたり邪魔になったりすることなく、すぐに実践できる。

 ●脳を配線し直す

 セルフ・コンパッションの能力を高めるには、瞬時の短いエクササイズに加えて、少し長めのエクササイズを併用することを筆者らは推奨している。毎日5分から10分、セルフ・コンパッションの瞑想をすることで大きな違いが生まれる。

 神経可塑性(神経回路が行動や環境などに反応して変化する能力)に関する研究からわかっている、私たちが何を考え、何に注意を払うかということが、脳の構造と機能を変化させ、こうした習慣を身につけやすくする。セルフ・コンパッションの能力を構築するために、定期的に時間を割くことで、脳が自分に優しくするように訓練できる。そうすることで、困難な状況でも、簡単に習慣的な反応として自分に優しくできるようになる。

 たとえば、「セルフ・コンパッション・ブレイク」と呼ばれるガイド付きの瞑想(「9分間のガイド付き瞑想」を試してみるのもよい)を朝のルーチンに取り入れたり、昼休みや仕事が終わった時の習慣にしたりできる。あるいは、自分を責めていることに気がついた瞬間に、短めのガイド付き瞑想をやってみる(ショートバージョンは「5分間の練習」)。