1. 突飛なものも含めて、さまざまな選択肢を検討する

 不確実な時期には、何が起きても不思議ではない。起こりうる結果の多様性に思いを馳せて、途方に暮れる時もあるかもしれない。理屈では理解していても、最悪のシナリオを直視できない人も多い。

 しかし、最も突飛な可能性について意識的に考えれば、恐怖感が和らぎ、自分の持っている選択肢を深く掘り下げて検討し、有効な計画を立てやすくなるかもしれない。

 たとえば、筆者の一人(クラーク)がコンサルティングを行った企業の一社は、新型コロナウイルスの感染拡大により、売上げが5%、10%、20%減った場合の対応策を盛り込んだ予算計画を策定しようとしていた。この会社に対してクラークは、売上げの50%が消し飛んだ場合のシナリオもつくるよう促した。

 幸い、そのシナリオは現実にならなかったが、破滅的な事態が起きた際にどのように対処するかを考えておくことにより、その会社はあらゆる事態に対して準備することができた。その準備ができている会社は、そうしたシナリオを検討することすら避けてきたライバル企業に比べて、成功する確率がはるかに大きくなる。

 職探しをする場合も、これと同じことが言える。もしあなたが求職中であれば、最も可能性の高いシナリオだけでなく、失業状態が想定より2倍も長引いたり、配偶者も同時に失業したりするシナリオも考慮すべきだ。

 そのような可能性について考えるのは、つらいかもしれない。しかし、そうした事態にどう対処するかを明確に検討しておき、ある基準が満たされればある行動を取るものと決めておくことの効果は大きい。

 たとえば、「2月までに職が見つからなければ、もっと安いアパートに引っ越す/予備の寝室を誰かに貸し出す」といった方針を決めてあれば、あとでもっとひどい状況(マイホームを売却したり、親戚の家に同居させてもらったり)に陥らずに済むかもしれない。

2. 最良のありうる未来を思い描く

 もちろん、最悪の可能性を考えることだけが戦略プランニングではない。同じくらい重要なのは、それまでに経験したことがないようなアイデアやチャンスについても検討することだ。

 自分自身について抱いている固定観念を問い直そう。「この類いの職には就いたことがないから、うまくいかないだろう」とか、「マネジメント職は私に向いていない」といった思い込みを捨てるべきだ。

 仕事や人生のそれ以外の領域で、自分のスキルをこれまでとは別の形で活かし、情熱を実現する方法がないかと考えてみよう。たとえば、週3日労働にすれば、親の介護や起業への取り組みにもっと多くの時間を割けるのではないか。さまざまな選択肢をじっくり考えれば考えるほど、チャンスが訪れた時に行動を起こす体勢が整う。

 一見すると簡単そうに思えるかもしれないが、最良のシナリオを思い描くことは、時として最悪の事態に準備するより難しい。そこで、その一歩を踏み出すために有効な戦略をいくつか紹介しよう。

着想のヒントを得るために、最もありありと覚えているつらい経験を思い起こそう。コロナ禍で直面した試練を思い出してもよいかもしれない。そのうえで、その厳しい状況に対処するために、どのようなスキルを活用したり、どのような独創的な対応を行ったりしたかを思い返すのだ。コロナ禍で通勤をしなくなり、通勤がない生活のリズムへの適応に苦労した人もいるだろう。けれども、あなたはそれまで通勤に使っていた時間に、新たにエクササイズを始めたかもしれない。もしそうであれば、今後もリモートワークを選択肢に入れればよい。

・自分が最良の状態だった時を思い出す手掛かりにするために、いわば自分の人生のハイライトシーン集を頭の中につくろう。そこから何らかのパターンが見えてくれば、有益なヒントになる。たとえば、同僚のメンタリングを行っている時にいつも楽しく感じるとすれば、コーチング関連の新しいスキルを育んだり、職業人生の中でその種の活動が占める割合を大きくしていったりする方法を検討してもよいかもしれない。

・自分が何を大切に感じているかを知るためには、自由な時間にどのような活動をしているかを考えればよい。筆者(ランスフィールド)の顧客の中に、仕事とは別に、文章を書くことに強い情熱を抱いていた女性がいた。この人物は最近、それまでの仕事を辞めて本を書き始めた。

・過去の経験と現在の業種にとらわれず、新しい競争の場と、いま生まれつつあるトレンドに目を向けよう。ランスフィールドの元同僚の一人は数年前、社会で人工知能(AI)への関心が急速に高まってきていることに気づいた。この男性は、AIに関する正式な経験こそなかったものの、社内でAIテクノロジーの開発と実装に注力する新しいイノベーション部門の役職に応募し、その職を得た。