●コミュニティを見つける

 この10年ほど瞑想アプリは大変な人気で、こうしたアプリのおかげで瞑想は一人で行うものという考え方がすっかり浸透した。筆者が近年指導するエグゼクティブの場合も、大半が過去に瞑想を一人で始めており、その多くがアプリの指示に従っていた。

 このトレンドの最大の利点は、利用のしやすさにある。スマートフォンを何度かクリックすれば、誰でも都合のよい時間に瞑想を始められる。

 しかし、何千年もの間、瞑想は主にコミュニティの中で行われてきた。仏教でそのようなコミュニティは僧伽(サンガ)と呼ばれている。

 こうしたコミュニティに入ることの利点は、主に2つある。まず、グループが特定の日・時間に集まるため、そこに出席する責務が生まれる。そして、社会的支援を受けられる。他人の進歩に触発されたり、自分が抱えている難問を他人と分かち合えると知ることができたりするのだ。

 筆者が知るエグゼクティブで、瞑想を定期的に行う習慣を身につけた人はたいてい、何らかのコミュニティを見つけて習慣を維持している。地元のヴィパッサナー瞑想センターや、筆者自身も通う禅センターのような伝統的なコミュニティを見つけた人もいれば、グーグルのチャディー・メン・タンが率いるグループのように自分の勤務先でコミュニティを見つけたりつくったりした人もいる。

 組織を超えてつくられたコミュニティも存在する。たとえば、「マインドフル・オン・ウォールストリート」というグループは、モルガン・スタンレーとクレディ・スイス、DWS、ゴールドマン・サックス、それにフォード財団のエグゼクティブたちが創設したものだ。数百人もの銀行家がこのグループの週1回の瞑想にオンラインビデオ通話を通じて参加している。

 モルガン・スタンレーのエグゼクティブディレクターであり、同グループ創設者の一人でもあるアリス・キムは「共通の目的を持つ人々が集まるこのグループに属することで、自分の心の平穏やスペースを見出せることにすぐに気づいた」と語っている。

 ●瞑想する時間は譲れないとコミットする

 コミュニティに参加すると定期的に瞑想を行う仕組みを得られるが、同時に自分自身で実践するための時間をきっちり確保することも不可欠である。

 国際的な投資銀行のマネージング・ディレクターであるパトリックは、瞑想の入門コースを受講した後、ただちにその時間を確保した。毎日、午後3時が瞑想の時間であることを自分のチームに知らせ、その時間にはじゃまをしないよう指示し、日程表でその時間に他の予定が入らないようにした。いまも毎日、午後3時に自分のオフィスのドアを閉めて、瞑想を20分間行っている。

 自分のオフィスがガラス張りであることで、ある意味、決意はいっそう堅くなったとパトリックは言う。彼のチームには瞑想中のパトリックが外から見えるため、午後3時になると黙って座っている上司の姿にチームも慣れていった。