●エネルギーを行動につなげる

 ネガティブな感情の下に隠れているエネルギーは、自分がコントロールできる物事に向けることもできるし、きわめて非生産的な目標に向けることもできる。

 セラピストのロザモンド・ストーン・ザンダーと、その夫でボストン交響楽団の音楽監督を務めるベンジャミン・ザンダーは共著『人生が変わる発想力』の中で、チームにとって特に非生産的な展開がどのようなものかを書いている。

 ザンダー夫妻は、この行き場のない状態を「可能性のない会話」と呼んでいる。物事を主体的にコントロールするのではなく、そのひどい点をひたすらあげつらう。こうした会話は、参加者が互いにつながりを感じられるので魅力的になりうるが、最終的に何ももたらさない。

 そうではなく、行動を起こした場合と起こさない場合の、未来のギャップを明確に思い描くよう促そう。そのギャップに基づき、エネルギーを行動につなげるのだ。

 まず、もし何も変わらなければ、将来どんな感情を持つか想像してみるよう部下に促してみよう。昇進を見送られたコンサルティング会社のシニアパートナーは、筆者と次のような会話を交わした。

「周囲の評価についてくよくよ考えるだけで何もしなかったら、3カ月後はどんな気持ちになっていると思いますか」

「最悪でしょうね」

「では、何らかの行動を起こして、先に進めたら、どう感じるでしょう」

「大きな重しが取れた感じがしそうです」と、彼は言った。その瞬間、彼は行動を起こした場合と何もしない場合の自分の気持ちの違いに気がつき、ポジティブな行動を起こす準備ができた。

 昇進を見送られ、仲間に裏切られたと感じるのは、ネガティブな感情を生み出す深刻な事例だ。だが、そこまで深刻でなくても、このリーダーシップ・アプローチによって、状況を切り替えられる物事はたくさんある。

 クライアントととのミーティングがうまくいかなかったとか、プロジェクトの予算が下りなかったとか、戦略的意思決定がやっかいな仕事やフラストレーションをもたらしたなど、小さな(しかし痛みをもたらす)出来事は多い。

 いずれの場合も、感情を指摘し(例:「あのミーティングの後に、きみがフラストレーションを感じていたのがわかったよ」)、それを意味と結びつけ(「このプロジェクトは、きみにとって本当に重要なんだよね?」)、見つかったエネルギーを行動につなげる(「これを次四半期のレビュー対象に加えたらどうかな。それには何が必要だと思う?」)と、ポジティブな結果が得られるだろう。

 ネガティブな感情を持つのはつらいことだ。しかし、リーダーはそれをポジティブなものに変える手助けができる。

 イタリアの著名な精神科医ロベルト・アサジョーリは著書『サイコセンシス』で、次のように書いている。「痛みを取り除こうとすると、しぶとくこびりつくだけだ。そこに意味を見出し、明らかにして、自分の目標に不可欠な部分にし、自分の役に立つよう受け入れるほうがいい」


HBR.org原文:Turn Your Team's Frustration into Motivation, November 10, 2020.


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