●自己批判ではなく自己指導を促す

 ひとたびネガティブな感情が何かわかり、その背後に隠れていたエネルギーが出てきたら、それが未加工のエネルギーであることを覚えておこう。未加工ということは、それをポジティブな「セルフコーチ」の声にも変えられる。

 たとえば、「私にも明らかな見落としがあった」「人からどう思われているか、もっと考える必要がある」といった、建設的な自己指導の声に変える。それは自分の能力に疑問符をつけ、「これまで能力をごまかしてきたことが、ついに発覚した」という認識さえ生み出すかもしれない。

 ここで注意が必要なのは、ポジティブなセルフコーチは助けになるが、自己批判は自己破壊的になることだ。

「この感情は、私にどうしろと言っているのか」という問いに対して、有能なコーチは建設的な答えを生み出すように方向づける。これに対する自己批判者の答えは、性格的な欠陥の列挙だ。「私は愚かで、怠慢で、感じが悪い」といった具合だ。

 一方、セルフコーチはとるべき行動を列挙する。「もっと努力して、もっと違う考え方をし、もっとサポートを求める必要がある。まだ目標に到達していないのだから」と。

 リーダーが、部下のネガティブな感情を意味あるサインと解釈してやれば、やる気を失った部下のセルフコーチの声を増幅し、自己批判の声を抑えることができる。

 たとえば、「これは、きみにとって本当に重要なことだよね?」「これがきみにとって、すごく重要なのがわかるよ」と声をかけもよい。部下のネガティブな感情を情熱の表れと解釈してやることも、生産的なモチベーションを高めることができる。

 また、リーダーが自分の経験を話してあげると、部下が他人との比較(自己批判にありがちだ)をやめて、セルフコーチの考え方をするきっかけになりうる。

 たとえば「私はクリエイティブではないので」という発言は、「他の人のほうがクリエイティブだ」という意識の表れだ。そこでリーダーであるあなたが、自分も昔は苦労したという経験談(自分は力不足だと感じたエピソードや、その感覚を乗り越えられた話)をすると、部下の自己批判を抑えることができるだろう。