不妊と仕事――沈黙の日々

 研究によると、不妊の経験は、女性の日常生活とキャリアにきわめて大きな影響を及ぼす場合がある。しかし、その経験を職場で誰にも語らない人が多く、職場で支援を受けることができずにいる。

 本稿の著者2人の経験と、不妊治療を受けたことがある女性たちとの対話の内容に照らして考えると、キャリアへの悪影響として特に深刻なのは、以下の要素だ。

 ●通院の負担

 不妊治療を継続する過程では、頻繁にクリニックを訪れなくてはならない場合があり、治療と仕事の両立が不可能に感じられることもある。

 通院治療には時間がかかる。しかも、予定外のタイミングで急遽通院しなくてはならない場合もある。それに治療を受けた後は、体調を回復させるための時間も必要だ。その結果、ただでさえ過酷な日々を送っている女性たちのストレスがいっそう重くなる。

 そうしたストレスに対処するためのゆとりをつくり出すべく、生き方と働き方を修正しない限り、たちまち燃え尽き状態に陥り、下手をすれば鬱状態になりかねない。そうなれば極度のストレスにより、仕事のパフォーマンスが低下し、妊娠の可能性も低下するという悪循環にはまり込む恐れがある。

 ●職場での支援の喪失

 不妊治療による肉体的・情緒的試練により、女性たちは職場で最高のパフォーマンスを発揮できない場合がある。休暇を取ったり、重要な会議や打ち合わせを欠席したり、集中力を維持するのに苦労したりすると、手を抜いているとか、やる気がないなどと、上司や同僚から誤解されかねない。その結果として、勤務評定で厳しい評価をされたり、昇進やその他のチャンスの対象からはずされたりする恐れがある。

 ●キャリアの自己抑制

 不妊治療を受けている女性の中には、ストレスを減らすためにライフスタイルを変更する人も多い。ストレスが高いと、妊娠の確率が下がること明らかになっているからだ。

 ストレスの激しい職を辞めて、もっと不妊治療と両立させやすい職に移る女性もいる。妊娠した場合に備えて、キャリアの追求を一時停止にし、好ましい職への異動や昇進を願い出なかったり、新しいプロジェクトへの参加を希望しなかったりする人もいる。