(1)チームでシミュレーション演習に参加する

 チームでのシミュレーションには、さまざまな形がありうる。たとえば、野外でのロープ渡りの演習を通じて、困難な任務の中で互いを信頼し合うとはどういう感覚なのかを直感的に体験するのもよい。または屋内で、意思決定の一連のエクササイズにチーム全体で取り組んでもよい。

 その一つの例として、ハーバード・ビジネス・スクールが開発した、エベレスト登山チームで意思決定を行うシミュレーションがある。参加者は一連の意思決定を経た後に、重要な情報をメンバー間で共有できなかったことに気づく。

 ほかにも、生きるか死ぬかの状況に対処するために、チームでの効果的な協働を必要とするシミュレーションもある(例:海での遭難や、NASAの月面サバイバルなど)。

 新しい作業チーム内で建設的な議論、協働、意思決定をめぐる規範を確立し、シナジーの価値を理解させるために、こうしたエクササイズが役に立つ。いずれの場合も共通する目標は、短い時間枠の中で、チームをより効果的に機能させるための具体的な手法を見出すことだ。

 ロープ渡りの演習を無事に完遂するために、チームで取り組みながら自己発見をすることの効果を、筆者ら2人は経験している。アーロンは米国海兵隊で訓練を受け、地上5メートルの足場で(たとえ安全ネットがあっても)緊張している時、どうすれば最もうまく冷静さを保ち、ほかのチームメンバーに助言を提供できるかを学んだ。

 エイミーは、ロープ渡りの演習に参加中の経営陣を分析したことがある。不慣れな挑戦のさなかで生産的に問題解決を行うのはどんな感覚なのかについて、彼らは大きな気づきを得た。ある参加者は、「仕事に戻ってもこれができれば、我々は最高のチームになる!」と言った。

(2)チームに熟練のファシリテーターを雇う

 全経営陣を対象に、厳しい意思決定と難しい議論を効果的に行う能力を育成するには、熟練した実践者による先駆的なやり方を活用するとよい。つまり、業務の遂行と能力の向上を同時にできるよう支援してくれるファシリテーターに頼るのだ。

 ファシリテーターの役割は、チーム内の非生産的なダイナミクスを突きとめ、参加者にリアルタイムで対処させるために介入することである。観察対象となりうる事項には、新たな方向性や行動の提案、他者の意見への賛成と肉付け、異議・反対意見の提示を各人がどれほど頻繁に行っているか、などが含まれる。

 チームでの健全な議論には、これらの行為が混在して生じるものだ。話が脱線した場合には、ファシリテーターが状況を見極めるために一時停止して、チームのダイナミクスについて指摘する。

 この取り組みには知的にも感情的にも多くを求められるが、真剣に受けとめて実際の業務の中で実施すれば、大きな成果が上がる。