あなたの悲しみを明確に伝える

 ある日、重すぎる悲しみを抱えて帰宅した私は、今日はどうだったかと配偶者に聞かれて、こんなふうに答えた。

「友人の存在を消してやり過ごしたわ」

 最初の1カ月は、人事やIT部門など社内からのメールの洪水を無視しようと努めた。

 私は言いたかった。「やめて。彼女が何年も使っていて、バースデーカードをつくっていたコンピュータを持っていかないで。彼女のカールした髪を押さえていたヘッドセットを持って行かないで。彼女の離職の書類なんて、私は書かないから。彼女は離職したんじゃない。私たちから永遠に引き離されたのよ。私は彼女に会いたい。みんな彼女に会いたい。彼女がいなくなってしまうなんて考えられない」

 会社は、故意ではないが、私の悲しみを急かしている。そう感じていた。

 人間には(普通は)理解力があるが、相手の心が読めるわけではない。このような期待に自分が圧倒されていると感じる時は、同僚とコミュニケーションを取ろう。

 私がIT部門の要求を無視していた理由をようやく説明すると、担当者は自分の悲しみを言葉にして、私たちは故人と仕事をした時の思い出を共有した。この喪失の時期に、こうした予期せぬ交流があったおかげで、彼女の優しさが彼女と関わったほぼすべての人の心に届いていたことを、私は実感できた。

 彼女の記憶が消されることはないだろう。