●ネガティブな感情を利用する

 ネガティブな感情は実のところ、私たちのマインドセットを動かす重要なツールの1つであることを示す、心理学や脳科学の研究は増えている。

 特に怒りは、モチベーションを高め、生産的な心理状態・精神状態をつくり、目標達成に向けて燃え上がらせる効果がある。もっとうまくやれると思うと、悲観的なムードが脳の報酬中枢を活性化させる。

 筆者は、エグゼクティブを対象とするコーチングをしてきた。そしてエグゼクティブたちが、コロナ禍などの社会悪に対する怒りやフラストレーションから、巨額の報酬を蹴って、創造的な冒険に挑戦するのを見てきた。

 スーザン・アブーカイア医師は、ある病院の最高医療責任者として多額の報酬を得ていた。しかし最近、その仕事を辞めて、医師向けの研修事業を立ち上げた。これは公衆衛生の改善策として、自然と医学をもっと結びつける画期的なカリキュラムであり、伝統的に医師が受けてきた訓練とは大きく異なる。

「今回のコロナ禍で、余計なことが気にならなくなり、私が本当に注目している物事がはっきりして、創造性が高まったと思う」と、アブーカイアは言う。「自分がつくり出したいものに集中できるようになると、想像力が高まる」

 ●自己表現ができる活動をする

 アートを通じて自己表現をすると、ストレスと不安を管理でき、場合によっては健康にもプラスになることが、研究からわかってきた。

 ヘルスケア系NGOの幹部ジュリア(仮名)は、コロナ禍のさなかに、予期せずCEOに就任することになった。すると、ストレスを管理するためにコロナ禍の前から習い始めた即興演技が、CEOの仕事に大いに役立っていることに気がついた。

 予期せぬ問題に直面した時、創造的な解決策を考える助けになっているというのだ。たとえば、即興演技のレッスンのおかげで(いまも続けている)、言葉だけでなく、含意や意図といった非言語的なサインに注目するようになった。

 別のエグゼクティブは、通勤がなくなって浮いた時間を利用して、ウクレレを習い始めた。新しいコミュニティに加わったおかげで、在宅勤務になってもさほど孤独感を覚えることなく、これまでにない経験を前向きに受け入れられるようになった。

 ●フローの状態に入る

 あなたは、時間の感覚がなくなるほど何かに没頭したことがあるだろうか。これは心理学者のミハイ・チクセントミハイが「フロー」と呼んだ精神状態だ。「ある活動にみずから完全にのめり込んでいる状態」と定義される。

 ハーバード大学のテレサ・アマビール教授の研究によると、フローの状態になった人は、創造性や生産性が高まり、幸福感が高まる。また、創造性が高まるだけでなく、毎日が創造的になると答えたという。

 つまり、フローは瞬間的なものではなく、長期的にも創造性を高めるのだ。したがってフローになる訓練は、よりクリエイティブになる訓練でもある。

 意図して創造的になろうとしなくても、フローの状態を育むことはできる。時間が過ぎるのも忘れてしまう時を考えてみよう。

 何をしている時だろうか。ジョギング中だろうか。それとも良書を読んでいる時だろうか。ジョージア・ルピは著書OBSERVE, COLLECT, DRAW!(未訳)の中で、日常生活の細部を細かく記録することを勧めている。