コロナ禍で在宅勤務となり、オフィスで同僚と立ち話もできず、旅行や出張にも行けなくなったいま、私たちの世界は急速に狭まっている。このまま何もせず単調な毎日を送っていると、認知の柔軟性が低下し、創造性が衰えていく可能性がある。本稿では、さまざまな制約がある環境でも創造性を高める5つの戦略を紹介する。


 新型コロナウイルスの感染拡大で、多くの人の世界は狭くなった。当初は目新しかった在宅勤務はありふれたものになり、かつてはルーチンだった出張や旅行は存在しなくなった。友達に会うこと、お気に入りのレストランに行くこと、年老いた家族を訪問すること――いま(そしてしばらくの間)できないことは数えきれない。

 それにより生じた単調な毎日は、私たちの創造性、すなわち複数のアイデアを組み合わせて、新しい問題解決方法を考案する能力にダメージを与える可能性がある。というのも多くの場合、創造性は新しい環境にさらされると高まるからだ。

 このことは、バーチャルリアリティ(VR)を使ったある実験でも示されている。

 参加者は3つのグループに分けられ、第1のグループは、物体が上に転がっていったり、物体に近づくとそれが小さくなっていったりする、物理法則に反するシミュレーション空間を体験した。第2のグループは、物体が物理法則の通りに動くシミュレーション空間を体験した。そして第3のグループは、第1グループが体験したシミュレーション空間を、ビデオで視聴した。

 その結果、第1グループは認知の柔軟性(クリエイティビティに必要不可欠な要素だ)が高まったが、第2グループと第3グループにはそれが起こらなかった。

 多くの人は定期的にVRを体験することはないが、コロナ禍の前は、毎日が新しい状況との遭遇だった。いつもの通勤ルートで工事が行われているために回り道をしなければならなかったり、会社の廊下でばったり同僚に会って立ち話をしたりなど、ありきたりの出来事でさえ、認知の柔軟性を高める。

 私たちはいま、大きなストレスにもさらされている。雇用の安定から家族の健康、子どもの教育まで、心配事がたくさんあるのだ。

 意思決定に関する研究によると、人間の脳はストレスにさらされると、保守的な選択をする仕組みになっている。これは創造性を低下させる恐れがある。何かを決める時も、二者択一の考え方をしがちになる。

 では、コロナ禍で制約のあるストレスフルな日常がしばらく続く場合、仕事でもプライベートでも、創造性が低下するのは仕方がないと諦めるしかないのか。

 そんなことはないと、リーダーシップや創造性の専門家は言う。ただしそのためには、それなりの対策を講じる必要がある。研究によると、世界観を広げ、創造性を高める戦略は5つある。