ウェビナーをはじめ、バーチャルなプレゼンテーションの機会が拡大している。だが、話し手の側からは聴衆の姿が見えず、話を聞いてくれないのではないかとの不安が募り、プレゼンテーションの質が下がるという悪循環に陥りがちだ。そこで有効なのが、対面のプレゼンテーションで実践されていた「コール・アンド・レスポンス」を取り入れることである。視聴者が話し手の存在を感じ、メッセージに耳を傾けてもらうことで、互いの感情的な距離を縮める3つの方法を紹介する。


 最近、ある顧客企業のCEOが私に言った。バーチャルでプレゼンテーションを行うのが嫌でしかたがない、と。「これまでは人前に立って話すのが好きでした」と彼女は言う。「会場に集まった聴衆に働きかけるのが、本当に楽しかった。でもいまは、ブラックホールに向かってしゃべっているみたいです」

 バーチャルプレゼンテーションの何がそこまで自信を奪い、不安を煽るのだろうか。意外なことに窓の外、鳥のコミュニケーションに耳を傾けると、その答えの一つがわかる。

 鳥が互いを呼び合うのは、主に「生存」を目的としている。仲間に危険を知らせたり、異性の気を引いたりするためだ。呼びかけたのに返事がなければ、鳥にとってどれほど恐ろしいだろう。人間がズームでプレゼンテーションする時の感覚も、それと変わらない。呼びかけたのに沈黙しか返ってこなかった時の鳥と、同じなのだ。

 コロナ禍前、対面でプレゼンテーションをしていた時には、自分のメッセージが届いたかどうかは、聞き手の反応を見れば確認できた。ところが、バーチャルのプレゼンテーションでは、そうしたフィードバックがない。

 そもそも、ボディランゲージが見えない。首を縦に振ってうなずいている人も、あるいは退屈してうとうと居眠りしている人がいたとしても、その姿はこちら側からは見えない。アイコンタクトを取るのも、とてつもなく困難だ。その結果、誰も自分の話を聞いていないかのように感じる。残念ながら、それによってこちら側は話すのがますます不安になる。

 さらに悪いのは、誰も聞いていないように感じると、誰も聞いていないかのように話してしまうことだ。聞き手に向かって語りかけるのではなく、淡々と抑揚をつけずに話す。とりとめがなくなり、話がまとまらない。

 そうなると、状況は悪くなる一方だ。不安はさらに高まり、プレゼンテーションの質が落ちる。そうして、話し手が距離を感じれば感じるほど、聞き手の側も耳を傾けるのが難しくなるのだ。

 では、どうすればこの問題を解決できるのだろうか。バーチャルでプレゼンテーションしても、誰も耳を傾けてくれないという不安は、どのように解消できるのか。さらに重要なこととして、バーチャルな聴衆が話し手の存在を感じ、メッセージに耳を傾けてもらうにはどうすればよいのだろうか。

 その答えは、対面のプレゼンテーションで実践されている「コール・アンド・レスポンス」を、バーチャル環境でも真似ることだ。バーチャルの話し手は鳥と同じように、相手が反応せざるを得ないような「呼びかけ(コール)」を意識的に行うことで、聞き手の「応答(レスポンス)」を引き出さなければならない。

 幸い、バーチャルプラットフォームには、そのための機能が充実している。バーチャルで対面と同じプレゼンテーションはけっしてできないが、有意義なやり取りを繰り返し生み出すことで、不安を解消し、視聴者との距離を縮められる。

 バーチャルでのプレゼンテーションで、視聴者の反応を引き出し、聞き手との距離を縮める方法3つ紹介しよう。