ある企業が真に良心的な行動を取るためには、自社を取り巻くエコシステムの中から――すなわち、その企業の活動により影響を受けるすべての従業員、顧客、地域住民、取引先、リーダーの間から――目的意識が生まれなくてはならない。そうでなければ、説得力と影響力を持たない。

 コロナ危機の中でとりわけ創造性を発揮した企業リーダーたちは、この点をよく理解していた。

 ある知的財産権代理会社のCEOの例がわかりやすい。その人物は、自社で在宅勤務を支える体制が整うとただちに、活動家モードに転換した。

 このCEOは、世界がすっかり変わったと感じていた。その会社がビジネスを行っているコミュニティでは、誰もが打撃を被っていたのだ。自社がそのコミュニティでそっぽを向かれないためには、現実的な希望を示し続ける必要があった。

 CEOはこのように直観的に感じていたが、その考え方にすぐ飛びつくことはしなかった。納入業者、社員、顧客、取引先などの利害関係者のグループを集めて、自社に何を望むのかと尋ねたのだ。

 このCEOが最優先事項と位置づけていたのは、コミュニティの利害を擁護し、コミュニティを勇気づけるために、自社に何ができるのかを知ることだった。コミュニティが抱いている最も強い希望を実現するために行動し、その夢を明確に表現したいと考えたのだ。

 利害関係者に話を聞くと、新しいアイデアが続々と登場した。新しいテクノロジーを導入すれば、著作権保護が強まり、新しい戦略的提携を結べば、自社の影響力が高まると期待できた。事業開発チームには、それまでほとんど目にしたことがないような新製品や新サービスのアイデアが殺到した。

 誰もが参加したことで、同社の追求する目的は、人々の支持を獲得していった。顧客も社員も、古いプランに固執するのではなく、活動の規模と範囲、そして影響力を拡大させるチャンスに胸躍らせている。