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重大な危機に直面すると、リーダーはそれまで以上に失敗を恐れるようになる。その結果、部下を必要以上に管理したり、予算上の締め付けを厳しくしたりしがちだ。しかし、不確実性が高まる中でリーダーに求められる役割とは、指揮権を強化することではない。メンバーの声に耳を傾けて、彼らが自発的に目的意識を見出せるよう促すことである。


 危機の時には、失敗のリスクが切実に感じられるものだ。

 そうした失敗への不安はしばしば、リーダーを指揮統制モードに駆り立てる。スケジュールを窮屈に固定したり、厳しい予算上の制約を課したり、過大な目標を設定したり、大風呂敷を広げて公約を掲げたり……といった具合だ。このような環境では、軍事関連の比喩表現が頻繁に用いられることが多い。

 しかし、危機に直面して曖昧さと不確実性が高まっている時、仰々しいレトリックで確実性を強調するよりも重要なのは、強固な意義を共有することだ。そのような意義は、リーダーによって上から押しつけられるものではない。

 リーダーに求められるのは、1人の活動家として行動し、社員、納入業者、顧客、そして自社が奉仕する地域コミュニティのメンバーを呼び集めて、みんなで一緒に意義を見出すよう働き掛ける役割を担うことだ。

 リーダーが成功を収めるには、「あなたは何のために、いまここにいるのか」という問いに答えられなくてはならない。これは順風満帆な時にも、逆風の時にも言えることだが、不安定な時期にはこの問いがひときわ大きな意味を持つ。そのような状況では、活動を変える必要性が大きいからだ。

 過去には有益だった活動が、それこそ一夜にして意味を持たなくなるケースもある。旅行会社や映画館、スポーツジムといったビジネスに携わっている人たちは、いまこの点を痛感していることだろう。

 このような時、いままで通りのやり方を続けたり、それをいっそう強化したりするのは、適切な対応とは言えない。リーダーに求められるのは、現状維持を目的に行動するのではなく、新しい未来を形づくることに目標を転換することだ。

 リーダーにとって、この両方を同時に実践することは難しい。「現実主義に溺れないように気をつけています」と、あるグローバルなコンサルティング会社の幹部は最近、私に語った。