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ネガティブな情報や思考が有害であることは広く知られている。だが、ニュースやソーシャルメディアだけでなく、自分の周りにいる家族や友人、同僚からもネガティブな話ばかり聞かされれば、気分が落ち込むだけでなく、パフォーマンスが低下し、時には攻撃的な行動にも結びついてしまう。これらの悪影響に対抗するには、自分の中に「成功している」感覚を持つことが有効だと著者は言う。そのためには自身が何を選び、何を避けるべきか。具体的な方法を提示する。


 私たちはどこにいても、ネガティブなものに囲まれている。目に留まるニュース、じっくり読んでしまうソーシャルメディア、自分たちの会話やふと耳にする話もそうだ。家族や友人、同僚からストレスを吸収して、それが大きな負担になっている。

「ザ・マイティ」は、ヘルスケアに関する情報を提供し、特定の健康問題に関連する人々を結びつけるコミュニティプラットフォームだ。筆者のポラスが立ち上げたこのプラットフォームでは2020年3月以来、7万人以上の読者とコミュニティメンバーを対象に、新型コロナウイルス感染症の危機に対する認識、理解、経験について調査を行っている。

 2020年9月時点で、回答者が抱える感情の上位3つは「いら立ち」「不安」「怒り」だった。怒りをトップ3に挙げた回答者は、3月では全体の20%だったのが、9月には45%と2倍以上に増加している。

 ネガティブな感情は、有害な影響を及ぼすことがある。実際、筆者のクリスティーンが行った研究では、私たちはネガティブなものや無礼な態度にさらされると心が折れてしまうことが何度も示されている。

 無礼な態度を目撃すると、ワーキングメモリー(作業記憶)が妨げられ、パフォーマンスが低下する。無礼な言葉にさらされるだけでも、情報を処理し、再生する能力が低くなる。そうなると、心を閉ざし、コミュニケーションを停止し、他者を助けることをためらいがちになる。機能不全や攻撃的な思考、時には攻撃的な行動が急増する。

 幸いなことにクリスティーンの研究は、これらの影響に対抗する有効な手段があることも示している。それは活力と学習の両方の感覚を得ている「成功している(thriving)」と呼ばれる心理的状態だ。成功している状態では、停滞や消耗を感じず、成長し、発展し、エネルギーに満ちあふれている。

 クリスティーンがさまざまな業界を対象にした研究では、成功している心理的状態にある人は、より健康的でレジリエンス(再起力)が高く、仕事に対する集中力が高いことが明らかになっている。成功している感覚を少しでも持っていると、注意散漫やストレス、ネガティブな感情が緩和される傾向がある。

 それぞれ異なる業界の6つの組織を対象にした研究では、非常に成功している心理的状態にある従業員は、同僚と比べて1.2倍、燃え尽き症候群になりにくいことが実証されている。

 彼らはまた、自分自身と状況をコントロールする能力について自信を感じる割合が52%高く、ネガティブな感情に引きずられて注意散漫になったり、自己不信に陥ったりする割合がはるかに低かった。

 では、特にネガティブな状態に陥っていると感じる時には、どうすれば成功している感覚を高めることできるだろうか。筆者らの研究から、いくつかの方法が明らかになっている。