メンティーの情緒面での
ウェルビーイングに気を配る

 メンティーと話をする時は、新しいスキルを教える、あるいは特定の問題を解決するための具体的な方法を助言するといったことに重点を置きがちになる。だが、最前線のスタッフにとって、あなたは情緒面で頼りにできる数少ない存在だ。

 メンタリングではどのような場合でも、相手のウェルビーイングを重視しなくてはならない。メンティーにいまの気分を尋ね、安心させ、ウェルネス向上の方法を提案し、相手の長所を肯定しよう。

 第1に、メンティーの話に耳を傾けることから始める。「本当のところはどう」と聞いてみよう。それも1回だけでなく、何回か尋ねてみる。すると相手は、悲嘆や不安、恐怖を吐露するかもしれない。

 そうした感情を話しやすい状況を整えること。口に出して表現することは、自分がどのような感情を抱いているか気づく助けになり、感情をため込まず、外に吐き出すきっかけになる。そうすることで、脳の活動や視点を変えることができるのだ。

 場合によっては、メンタリングがいつもより感情的になって、時には涙を伴うこともあるだろう。メンティーが独りではないことをわかってもらうこと。「私も泣きました」あるいは「私もそうなったことがあります」と伝えよう。そうすることでメンティーの悲しみを和らげ、危機に直面した時に引き起こされる「闘争・逃走反応」の興奮状態を鎮め、メンターであるあなたとの人間関係を強化することもできる。

 メンティーにどのような言葉をかければいいかわからない場合には、「反射的傾聴法(reflective listening)」が大きな助けになることを覚えておこう。これは、メンティーが話した内容のエッセンスをメンターが語ることで、自分の話にきちんと耳を傾けてもらい、理解されているとメンティーが確認できるようにするものだ。

 たとえば、メンティーがあなたに対して、自分の仕事にどれほどストレスが多いかを打ち明けたならば、「とてもストレスの多い仕事だと聞いたことがあります。予期せぬことにどう対応していいか、わからないですよね」と答えるのもよい。

 さらに踏み込んで、「現時点で、最も大変なことは何ですか。逆に、最も助けになっていることは何でしょうか。あなたの仕事や生活でうまくいっている、あるいはそれなりにうまくいっていることは何でしょう」と質問をしてもよいだろう。

 ストレスを抱えている時には、メンティーにとって最も大切なのは何かを明確にすることが、最大のプレゼントになることもある。そうすることで、メンティーは自分の人生に意義や目的をもたらしている物事に感謝し、そこに意識を向けやすくなる。