まずは自分自身を強くする

 最初に、自分のキャパシティを把握しよう。メンティーのために割ける時間や集中力、エネルギーはどのくらいあるだろうか。

 あなた自身も最前線で仕事をしているなら、心身ともにかなり消耗しているはずだ。もし十分なキャパシティがないなら、その事実を認めることは自分自身をいたわる大切な行動であり、メンタリングを行うためにも必要な行為である。

 自分には時間はないが、相手を支援したいと思う場合には、メンティーが「メンターのチーム」を持てるよう手助けするのも方法の一つだ。

 自分にはメンターの役割を果たすキャパシティがあると判断した場合は、「自分自身が強くあるために、何ができるだろうか」と自問する。

 メンターが助けを必要としている人のリストをつくる際、自分の順番を最後にするか、まったくリストに加えないことがほとんどだ。しかし、「ケアのタンク」が空だったら、誰かをケアすることはできない。セルフケアをまったく考えず、人助けに尽力するあまり、自分がダウンしてしまったという同僚を筆者らは何人も見てきた。

 適切な睡眠や栄養、運動、そして活力と意義を取り戻す活動(瞑想や祈り、散歩、音楽を聴いたり弾いたりすること)は贅沢ではなく、必要不可欠なものだ。日々の感謝を記録する日記をつける、深呼吸をする、たとえば手指消毒剤を使う時にマインドフルネスの時間を持つといった小さな習慣は、日々の生活にウェルネスの瞬間をもたらすことができる。

 必要な時間は、数秒から数分程度だ。15秒であらゆることにポジティブな側面を見出すための習慣「テイキング・イン・ザ・グッド」でさえ、継続して実践すれば、あなたのウェルビーイングを高め、誰かを助けるうえで、よりよいマインドセットをつくることができる。

 また、メンティーがメンターを持つことから恩恵を得るように、メンターにもサポートネットワークが必要だ。

 能力の高いリーダーには、近くにも遠くにも頼りになるサポートチームが存在する。優れたメンターもこれと同じく、友人や家族、メンター、コーチ、スピリチュアルアドバイザー、あるいはメンタルヘルスの専門家と、定期的に近況を確認する機会をつくる。特にコロナ禍のような時は、メンタリングは孤独な仕事に見えるかもしれない。自分は独りではないと知ることが大切だ。

 同じように、メンターとメンティーの関係は一方通行ではないことを覚えておこう。メンティーから学ぶ姿勢を示すことは、メンターとメンティーのどちらにもポジティブなエネルギーをもたらすことができる。

 こうした「リバースメンタリング」は、情緒面でも実務面でも大きく役立つ。特に変化の激しいバーチャルな世界では、デジタルネイティブである若い世代が教えてくれることは多い。

 たとえば、筆者の一人(チョプラ)は、バーチャルホワイトボードの使い方をメンティーから学んだおかげで、その後のバーチャル講義で効果的に教えたり、参加者と上手にやり取りしたりする能力を高めることができた。メンティーから学んだ時に感謝の気持ちを声に出して表すと、人間関係の構築につながるとともに、メンティーに別の形で感情面のサポートを与えることができる。

 こうしたセルフコンパッションやセルフケアに抵抗を感じるメンターもいるかもしれない。しかし、それは実のところ、よりよいメンターになるための助けになる。また、こうした模範を行動で示すことは、メンティーへの大きな贈り物になるだろう。