人工知能(AI)の進化は目覚ましく、企業の採用や人事評価にも利用されている。その取り組みが有効なケースもある一方で、ある重大な課題が指摘され始めている。アルゴリズムに基づく意思決定はデータの質に左右されるために、その質が低いと公正性や道徳上の問題を引き起こしかねないのだ。本稿では、企業が人事でAIを活用する前に考慮しておくべき4つのポイントを示す。


 最初の頃、人工知能(AI)は幅広いビジネス上の問題を解決する手段になるという触れ込みだった。その期待はかなりしぼんでしまったが、AIが役に立たなくなったわけではない。データサイエンスに基づくアルゴリズムには、これまで私たち人間が行ってきたよりも優れた予測を導き出す能力がある。

 標準的な統計モデルは、社員の業務上のパフォーマンスなど、特定の結果を予測するために、それと関連があるとわかっている1つか2つの要素にだけ着目する。それに対し、機械学習に基づくアルゴリズムは、これまでにどの変数が予測に有効だったとか、なぜその変数が有効なのかといったことには関知しない。

 できるだけ多くのデータをかき集めて、そのすべてのデータをもとに、ある人物を採用した場合のパフォーマンスなど、何らかの結果を予測するためのモデルをつくり上げる。この予測は単一のスコアという形で示されるので、利用する側は解釈しやすい。

 期待が大きかっただけに、アルゴリズムの限界が指摘され始めた時、衝撃を持って受け止められたのも無理はない。なにしろ、モデル構築のために用いられたデータがバイアスの影響を受けていれば、そのデータに基づいたモデルが示す予測にもバイアスが入り込んでしまう。

 よく知られているように、過去に女性差別がまかり通ってきた企業では、業務上のパフォーマンスに関するデータがバイアスの影響を受けざるをえず、そのデータを土台につくられたアルゴリズムもバイアスに毒されてしまう。

 では、企業が人事上の決定を下す手段としてAIを導入する際、どのようにその取り組みを進めればよいのか。本稿では、頭に入れておくべき点を4つ挙げたい。