あなたの職場にも暗黙のルールがあるだろう。新しくチームに参加した人が、そのルールをすべて理解するのは骨が折れる仕事だ。コロナ禍で働き方が大きく変化する中、自分が知らぬ間にルールが書き換えられている可能性もあり、顔馴染みのメンバー同士ですらトラブルの種になりかねない。筆者は「やってもよいこと」をリストに書き出して、明文化することを推奨する。本稿では、その際に留意すべき4つのポイントを紹介する。


 あらゆる職場に暗黙のルールがある。20人でビデオ会議をする時、カメラをオフにしてもよいか。上司にメールする時、たくさん絵文字を入れてもいいか。

 現在のようなストレスの大きい時期に、チームや会社の暗黙の文化的・精神的な規範を文章にするのはよいことだ。誰もが在宅勤務をするようになってから規範が変化したかもしれないし、これまでも全員にとって自明のことではなかったかもしれない。

 勤務時間中に、頭をすっきりさせるために散歩に出るのは問題ないと、あなたはわかっているかもしれないが、他の同僚、特に新入社員ははっきりとはわからないかもしれない。「ちょっと休憩するために外に出てもよいのだろうか」といった、一見、ささいなことがわからないのは、大きなストレスの種になることがある。それを取り除くことは、特に現在の状況で、チームの全員が安心し、サポートされていると感じるうえで不可欠だ。

 拙著『のびのび働く技術』で、最も好評なのは「やってもよいこと」のリストをつくろうという提案だ。このアイデアは、英政府デジタルサービス局のライター、ジャイルズ・ターンブルから教わったものだ。

 彼は新人の職員に、いつでも助けを求めてよいこと、ミスをしてもよいこと、そして休みを取ってもよいことをはっきりと伝えたかった。そこで、このリストの下書きをつくり、同僚に加筆してもらい、ポスターとしてデザインし、オフィスのあちこちに掲示した。「やってもよいこと」の最終リストには、こんなことも盛り込まれている。

・わかりませんと言ってもよい。
・すべてを知っていなくてもよい。
・静かにしている日があってもよい。
・なぜですか、なぜしないのですかと尋ねてもよい。
・経営陣に解決を要求してもよい。

 この「やってもよいことリスト」は、すでに職場の文化に存在しているけれども、全員が意識しているわけではないこと、あるいは時々、思い出す必要があることを可視化したものだ。

 経営幹部のためのプライベートコミュニティ、ワールド50のディレクターを務めるマット・リーターは、チームのメンバーと一緒にリストを作成した。「チームが在宅勤務を始めてから、明らかにいろいろなことが変わったのに、誰もそれを認識していませんでした」と彼は言う。

「私は、何をしてもよいかを知っています。それを知っているのは、私がこの会社では古株で長くいるからです。もし私が心の健康のために休みを取ってよいなら、他の人もそうしてよいのです」

 簡単な注意喚起だけでも、人の行動が変わることがある。グーグルのリサーチャーたちは、新入社員へメールを送り、優秀な成績を上げる人が常に「たくさん質問をして」いて、「フィードバックを待つのではなく、積極的に引き出している」ことを伝えた。それだけで、新入社員はこうしたスキルを練習して磨くようになり、生産性は2%向上して、年間約4億ドルの増収をもたらした。