Thomas Barwick/Getty Images

セルフケアの重要性を説いても、真面目なリーダーほど抵抗感を示す。「無意味だ」「忙しくて、そんな時間はない」「優れたリーダーにそんなものは不要だ」という具合だ。だが、それはセルフケアに対する誤った認識が原因だと、筆者は指摘する。実際、セルフケアの実践は、生産性や有効性を高めてベストの状態の自分を手に入れる、優れたリーダーへの近道でもある。本稿では、よくある3つの誤解を挙げ、抵抗感を克服してセルフケアの恩恵を手に入れるための解決策を示す。


 セルフケアの効用は、よく知られている。にもかかわらず、筆者がコーチングを行っているリーダーから、セルフケアについて大きな反発を受けることがよくある。なぜ多くのリーダーは、自身のために時間を割くことに抵抗があるのだろうか。

 それは、よいリーダーシップとは何か、セルフケアとは何か、そしてセルフケアは実際にどのような効果があるかに関する誤った認識に起因している。幸いなことに、極めて懐疑的な人でも、深く内省することで、それらの誤解を払拭し、セルフケアの恩恵を得られることが明らかになっている。

 筆者のクライアントがセルフケアに抵抗感を抱く理由のうち、よくある3つの点について考察し、リーダーがその抵抗感を克服するための解決策を提示する。

「セルフケアは、ニューエージがもたらした
ヒッピー的な無意味でくだらないもの」

 クライアントの中には、セルフケアの概念が、自分のイメージする「真面目な」リーダー像とは正反対だと考える人がいる。

 瞑想やマインドフルネス、チャント(詠唱)、「キャンドルを使うもの」、自然の中の散歩、そして「スピードを落とすこと」と聞くと、彼らは、あきれ顔になる。自分自身のための時間を設けることを「道楽」だととらえて、軽視する人もいる。自分の時間を楽しむ人もいるかもしれないが、自分には見合わない贅沢だと感じているのだ。

 このように制限された考え方に対処するには、何から始めるべきだろうか。

 筆者がクライアントと最初に行うのは、リーダーとしての生産性と有効性を高める投資として、セルフケアの意義をリフレーミングすることだ。ほとんどの場合、データに基づくアプローチが最も説得力があり、食事や運動、睡眠、そして感情の制御が健康とウェルビーイングを促進することは、研究で明らかになっている。

 具体的には、健康的な食生活は気分の改善やエネルギーレベルの向上、あるいは抑鬱レベルの低下と関係している。有酸素運動は血流をよくし、学習と記憶力を向上させる。質のよい睡眠は、集中力を高めて認知機能(創造性や革新性を含む)を改善し、学習能力を拡大して共感力を高める。

 セルフケアの明確なメリットに焦点を当てるため、筆者はよくクライアントに次の質問をする。

・「セルフケア」に焦点を当てるのではなく、食事や睡眠、運動、あるいは感情の制御に焦点を当てたなら、あなたの感じ方はどう変わるか。
・心身の健康を改善するために、いますぐ、あなたがやめる、始める、続けることができるものは何か。