第4の発見:
知らされた予想より待ち時間が長かった顧客は、
やっと順番が回ってくると時間をかける

 筆者は、シンシナティ大学カール H. リンドナー・カレッジ・オブ・ビジネス助教授のエリック・ウェブ、およびインディアナ大学ケリー・スクール・オブ・ビジネス教授のカート・ブレットハウアーの共同研究で、待つという体験は列に並んでいる間の顧客の行動だけでなく、順番が回ってきた時の行動にも影響を及ぼすことを明らかにした。

 我々は、銀行のコールセンターの通話内容5万件超を分析し、待ち時間が顧客担当者とつながった後の行動に与える影響を調査した。その結果、予想待ち時間より長く待つことになった顧客は、電話がつながった後も長い時間を割いていることを突き止めた。

 これは、予想以上に長く待たされた顧客が、文句を言うために長い時間をかけているからかもしれない。あるいは、長くなった待ち時間に見合うように追加のサービスを要求しなければと感じるからなのかもしれない。

 これが示唆するのは、長めの予想待ち時間を知らせることで、企業は顧客により短時間でサービスを提供でき、決められた時間内にサービスを受けられる顧客数を増やせるということだ。

 たとえば、レストランが長めの予想待ち時間を知らせると、顧客は手短に食事を済ませ、レストランがより多くの顧客にサービスを提供できる可能性が高くなる。

 もちろん、これらの改善はすべて、企業が予想待ち時間を正確に予想する能力にかかっている。したがって、実際の待ち時間を予想する能力を向上させることは、価値のある投資なのだ。

 そして、内在する不確実性が高い場合(たとえば、需要と供給の両方が大きく変動する場所でのライドシェアサービス)には、正確に予想することの限界を認識して、顧客に知らせる予想待ち時間に幅を持たせること(たとえば「予想待ち時間は5分から10分」)が最善策かもしれない。

 もう一つの戦略は、中国のライドシェアプラットフォーム大手である滴滴出行(ディディチューシン)が採用した方法で、予想待ち時間に幅を持たせるだけでなく、顧客がその時間内にサービスを受ける確率も知らせるというものである(「5分から10分で、ドライバーとのマッチング確率は90%」という具合だ)。これにより、情報の透明性がさらに増して信頼性が高まり、ひいては顧客体験が向上するのだ。

***

 米国人は、年間およそ370億時間を待ち時間に費やしている。最近の調査によれば、待ち時間の問題は小売業者が顧客を失う最大の理由になっているという。そして現在、オンライン事業に急速に移行しているが、この問題は解消されていない。

 順番を待つための行列がバーチャルに移行するにつれ、予想待ち時間の知らせ方を最適化することは、安価ながらも効果的に顧客体験を向上させる手段である。


HBR.org原文:When Providing Wait Times, It Pays to Underpromise and Overdeliver, October 21, 2020.


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