第2の発見:
長めの予想待ち時間のほうが
短めより好ましい

 我々はコールセンターの研究で、最初に予想待ち時間を知らせることの影響だけでなく、顧客体験も調査した。その際、10万件を超える通話内容を分析し、それを3つの条件に沿って分類した。

 最初のグループは、予想待ち時間を知らされなかった顧客。2つ目のグループは、長めであれ短めであれ、不正確な予想待ち時間を知らされた顧客。3つ目のグループは、正確な予想待ち時間を知らされた顧客だ。

 電話をかけてきた顧客が諦めること(たとえば、自分の順番がくる前に電話を切る)を、顧客体験の代替的指標として用いた。顧客が退屈やストレスを感じるほど、諦める確率が高くなると推測したからである。

 その結果、実際の待ち時間が、知らされた予想より短いと顧客満足度は多少向上するが、予想より長いと大きく低下することがわかった。知らされた予想より長かったことに対するネガティブな効果は、短かった場合のポジティブな効果と比較して、最大で7倍も大きかった。

 これが示唆するのは、企業はバーチャル行列に並ぶ人に待ち時間を知らせる際、一般論として短めの予想待ち時間を知らせるべきではないということだ。短めの予想待ち時間を聞いた場合、顧客が最初に諦める割合は低減するかもしれないが、その効果よりも、予想より長く待つことになった顧客が経験する不満のほうが大きな影響が出る。

 予想待ち時間が少しだけ長めだった場合、諦める顧客の割合が上昇する恐れは低く、実際の待ち時間が予想より短かった場合の嬉しい驚きが、顧客体験全体にポジティブな影響を及ぼす。

第3の発見:
進捗状況を頻繁に知らせると
顧客体験は向上する

 コールセンターでの研究では、顧客は最初に予想待ち時間を知らされたものの、その後、残りの待ち時間の更新情報は得られなかった。

 そこで私は、ワシントン大学フォスター・スクール・オブ・ビジネスの博士課程に在籍するイーミン・ジャンと同スクール教授のヨンピン・ジョウとともに、最初の予想とその後の更新情報の組み合わせが、顧客体験にどのような影響を与えたか研究を行った。

 我々は、ライドシェアプラットフォーム大手と協働してフィールド実験を行い、140万件の配車依頼データを分析した。そこでは無作為に、実際の予想待ち時間、実際の予想より短い待ち時間、あるいは実際の予想より長い待ち時間を知らせた後、リアルタイムで情報を更新した。

 予想待ち時間と更新情報を通知する頻度以外の要素、たとえばドライバーとマッチングするまでの顧客の実際の待ち時間などは、ドライバーとマッチングするまでの顧客の実際の待ち時間を含む、予想待ち時間と更新情報を通知する頻度以外の要素は、すべて確実にコントロールされた。

 最初に長めの予想待ち時間を知らされた顧客は、待ち時間が長いがゆえに更新情報をより頻繁に受け取るため、進行状況が速いと認識し、そのおかげで配車依頼をキャンセルする割合が低かった。最初の予想が長すぎない限り、頻繁な情報更新がもたらすポジティブな影響は、長めの予想時間によって即時のキャンセルが増加するというネガティブな影響を相殺する。

 コールセンターの研究と同様、これはやや長めの予想待ち時間のほうが、短めのものより好ましいことを示唆している。ただし、予想待ち時間が長すぎると、キャンセル率が上昇する恐れがある。

 このような知見に基づき、我々はこのライドシェアプラットフォームがバーチャル行列システムを再構築するのを支援した。それは、顧客体験を示す指標をかなり向上させることに役立った。

 最初の予想よりも待ち時間が長い顧客や、待ち時間の終わり近くになって遅延を経験した顧客を80%削減することができたのだ。その一方で、全体のキャンセル率は変わらなかった。