●チームB:報われる脆弱性

 別の会社のソフトウェア開発チームは、新しいバージョンのリリースの期日が迫り、24時間体制で働いていた。大きな仕事で、ミスが許される余地はほとんどなく、重圧がかかっていた。

 しかし、このチームのメンバーは社会的リスクを恐れているようには見えず、組織のヒエラルキーに関係なく発言し、エネルギーと熱意があった。新しく参加したメンバーが、シニアリーダーの提案をはねつけることもあった。

 初歩的な質問をする人もいた。自分のミスを共有して議論したいという人もいた。つまり、このチームの心理的安全性は、現状に異議を唱えるために自分をさらそうと思えるレベルに達していた。

 彼らは嘲笑や報復を恐れることなく、大なり小なり脆弱な行為に従事していた。そうできる理由は、異論を唱えることが認められていたからだ。

 最も印象的だったのは、緊張で消耗したり、個人攻撃や沈黙で崩壊したりすることなく、創造的な摩擦と建設的な反対意見を維持できるチームの能力だ。リーダーは、より多くの脆弱な行為を認める形で、チームの脆弱な行為に報いた。このパターンはチームの標準になった。

 チームBのリーダーは、メンバーが発言しやすいように、安心感を持つことができ、自分は保護されていると感じられる環境をつくり出していたのだ。

 従業員は職場で交流しながら、自然と脅威を感知するようになる。そして、ほかの従業員が地位やジェンダー、民族、年齢、ニューロダイバーシティ(神経発達の多様性)あるいはほかの人口統計学的な変数を理由に、何らかの形で疎外されたり、恥をかかされたり、罰せられたりしているのを目の当たりにすると、その情報をもとに自分が脆弱な行動を取るべきかどうかを決める。ただ質問するだけといった安全に思える行動でさえも、その対象になる。

 たとえば、入社したばかりの従業員が質問することをためらうのは、在職期間が長くなるまでは貢献する資格がないと感じているからだ。あるいは、有色人種の女性はジェンダーや人種に基づく偏見の実例を目の当たりにしているため、重要な洞察力を表に出さないかもしれない。

 こうした社会的リスクを軽減することによって、知的な勇気の文化をつくり、誰もが安心して発言できるようになる。