●2秒ルールを使う

 職場でジェンダーバイアスや性差別が起きているのが明らかにもかかわらず、男性が傍観し、臆病で沈黙している時は、よく知られる傍観者効果(bystander effect)が働いていることが非常に多い。傍観者が多いほど誰も声を上げなくなるという現象だ。

 男性が性差別的なコメントをしたり、屈辱的なジョークを言ったりした時、わずか数秒で生じるこの麻痺状態を打ち破るために、とにかく何かを言おう。

 我々が奨励しているのが「アウチテクニック」だ。ただ、はっきりと「アウチ(痛い)!」と言えばよい。そうすれば、相手の発言の問題点をはっきり説明する時間を数秒稼ぐことができる。そのうえで、事前に準備しておいたセリフを言う。たとえば、次のようなものだ。

・本気で言ってるわけじゃないよな?
・ここではそういうのはやめよう。
・全然おもしろくないよ。
・いや、それは時代遅れの偏見だ。

 ●何かを言うならば、言い訳しない

 別の男性と向き合う時に「ここには女性がいるんだから」とか「女性が嫌な思いをするから」と、自分の懸念や不快感を女性のせいにしてはいけない。

「ちょっと、ボブ、女性もいるんだから」といった、中途半端な向き合い方があまりにも多い。これは、女性がその場にいなければ、ボブの性差別的なコメントが容認されることを示唆してしまう。

 そうではなく、「私」を主語にして、あなた自身がその言動を正しいと思えないことを明確に示そう。「ボブ、私にはそのジョークは面白いと思えないよ。女性の品位をおとしめる発言は、どうかと思う」あるいは「私からのお願いだが、女性の同僚を『女の子たち』と呼ぶのは、やめてくれないか。大人の女性なんだから」といった言い方ができるだろう。

 ●ソクラテスの問答法を向き合うためのツールとして用いる

 ソクラテスの問答法を用いると、男性の同僚のジェンダーバイアスを打ち砕き、反省を促せることが非常に多い。

 たとえば、多くの女性は、ミーティングで自分のクリエイティブなアイデアが無視されたにもかかわらず、そのアイデアを男性の同僚が言い方を変えて提案するという経験がある。今度、女性の同僚のアイデアを自分の物にしようとする場面に遭遇したら、その場にいる全員に真の考案者を思い出させる質問をしよう。「チャールズ、ちょっと混乱してきた。それはさっきのアンバーの提案とどう違うんだ?」といった具合だ。

 ソクラテスの問答法は、男性の同僚に異なる視点で物事を考えさせるうえで非常に有効な方法にもなる。コンサルティング会社プリズムワーク(Prismwork)の創業者でマネージングパートナーを務めるライセン・ストロンバーグは、次のようなシンプルな質問を推奨する。「あなたは、女性が異なる受け止め方をするかもしれないと考えたことがありますか?」