テクノロジーは全員の責務

 今日では、あらゆる仕事においてテクノロジーへの適応が求められる。

 アマゾンで世界の人事を統括するシニア・バイスプレジデントのベス・ガレッティは昨年、従業員再教育への7億ドルの投資について尋ねられ、こう述べた。「我々の目に映る最も着実な変化は、どんな仕事にも一定レベルの技術的スキルが求められるようになっていることです」

 同社の従業員は基本的な技術知識を身につけたうえで、急発展する競争環境に欠かせないスキルを持ち、さらにデータ/アナリティクス文化の繁栄を支えるために必要なマインドセットも備える。

 文化の変革は、実を結ぶまでに長い時間を要する。そして文化は時とともに、組織に加わるすべてのリーダーの影響を受ける。したがって重要なのは、データとアナリティクスに対する首脳陣の姿勢の変化を誰かが監視することだ(これもCDOの職務範囲かもしれない)。

 数年前、ある消費財企業のアナリティクス担当グループは、シニアマネジャー一人ひとりについて、データ/アナリティクス志向の程度を見極めるために分析を実施した。

 理解度が低いと思われるマネジャーには、姿勢を改めるよう個別に説得した。マネジャーの退職に際しては、すべての後任候補を分析し、最有力候補の中で望ましいデータ/アナリティクス志向に欠けていると思われる者がいる場合は、説得による介入を行った。

 このやり方は狡猾に見えるかもしれないが、会社の成功のために行われたことだ。データドリブンの文化を推進する者は、まさにこのような考え方を取り入れるべきである。

 データドリブンの文化の構築においては、どれほど疲れても休む暇などない。データとアナリティクスを非常に重視していた組織で、旗振り役のCEOが退任すると、旧来の直感的な思考と意思決定に逆戻りしてしまったケースを筆者らは知っている。

 取締役会、CEO、アナリティクスおよびAI担当リーダーを含め、データドリブンの文化を重要だと信じる全員が、この文化を受容し維持するよう社内の人々を説得しなければならない。ソフトウェアとハードウェアさえあれば、組織は目指す文化を獲得できる――そんな思い込みは禁物だ。


HBR.org原文:How CEOs Can Lead a Data-Driven Culture, March 23, 2020.


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